新型DS No8 約960万円から欧州発売 プレミアム感を高めたフラッグシップモデル
公開 : 2025.02.10 06:05
DSの新型EV「No8(ナンバーエイト)」が欧州と英国で販売開始されている。流麗なファストバックスタイルにより空力性能を高め、最大750kmの航続距離を実現。ブランドの新時代を背負うフラッグシップとなる。
ブランドの新時代を背負う
フランスの高級車ブランド、DSの新型フラッグシップモデル「No8(ナンバーエイト)」が英国で5万790ポンド(約960万円)から販売開始された。最上級仕様の価格は6万3290ポンド(約1200万円)に達する。
新型No8は、設計、エンジニアリング、マーケティングにおいて新たなアプローチを追求するDSの新時代の幕開けを告げるモデルだ。

エントリーグレードのパラス(Pallas)では、最高出力260psのモーターをフロントに1基搭載し、74kWhのバッテリーで572kmの航続距離を謳っている。
車内には16インチのインフォテインメント・タッチスクリーン、シートヒーター、デュアルゾーン・クライメートコントロール、ヘッドアップディスプレイが装備される。
さらに3900ポンド(約75万円)を追加して97kWhの大容量バッテリーを選択すると、航続距離は750kmに、最高出力は280psに増加する。
上位グレードのエトワール(Etoile)は照明付きのフロントグリルが特徴で、デジタルリアミラー、LEDライト、強化版クルーズコントロールが追加される。価格は5万4790ポンド(約1050万円)。大容量バッテリーを選択すると5万9290ポンド(約1120万円)となる。
四輪駆動を求める場合は、エトワールと大容量バッテリーの組み合わせでのみ選択可能だ。リアに2基目のモーターを追加することで、最高出力を375psに高めるが、航続距離は685kmに短縮される。
この場合の価格は6万3290ポンド(約1200万円)となる。
英国での納車は7月から開始される予定である。
大胆で独創的な内外装デザイン
ステランティス傘下のDSは、2024年に欧州市場での販売台数が前年比25%減の3万5000台に落ち込むなど、苦戦を強いられている。業績を改善し、2031年までに収益目標を達成しなければ、ブランド閉鎖のリスクもある。
そこで、DSは高級路線をさらに強める方針を採った。その先駆けとなるのが新型No8である。兄弟ブランドのプジョー408やe-3008のようなファストバックスタイルを採用しつつ、パワートレインの選択肢はEVのみとしている。これは次世代モデルからエンジンを段階的に廃止する計画に沿ったものだ。

特徴の1つとして、香水の「No5」や「No19」などを手掛けるフランスのファッションブランド、シャネルに似た新しいネーミング(命名規則)を採用したことが挙げられる。現行車の車名は基本的に数字のみだが、今後はDS 3やDS 4の後継車も同様のネーミングとなる。
No8はステランティスのSTLAミディアム・プラットフォームをベースとし、空力性能を重視して開発された。例えば、流線型のルーフラインは、プジョー3008より60mmも低い。こうしたデザインの結果、No8の空気抵抗係数は0.24(Cd値)となり、テスラ・モデルYの0.23にわずかに及ばないものの、ポールスター4の0.26よりも優れている。
インテリアも既存モデルとは大きく異なる。最大の特徴は、4本スポークのステアリングホイールだ。さらに、ダッシュボードやドア周りは幾何学的な模様のパネルで覆われている。
ミニマリズムを追求し、ダッシュボードから従来型の物理ボタンを取り除き、ほとんどのコントロールを16インチのタッチスクリーン内に配置した。
また、一般的なヒーターよりも効率的に乗員の体を温められるとして、通常オープンカーに装備されるようなネックウォーマーを導入した。エアコンよりもエネルギー消費の少ないシートヒーターも標準装備される。