フォルクスワーゲン・シロッコ、復活への道のりは長く 「車名」にふさわしいモデル開発

公開 : 2025.03.05 06:45

フォルクスワーゲンは、生産終了した「シロッコ」などの有名モデルの復活に慎重だ。車名とモデルの関係性を重視し、オリジナル車のDNAに忠実である必要があると同社CEOは語っている。

名車復活に慎重 SUVに「シロッコ」はありえない

フォルクスワーゲンは車名とモデルの関係性を重要視し、仮に生産終了となったシロッコなどのモデルを復活させる場合、オリジナル車の「遺伝子に忠実」でなければならないとしている。

フォルクスワーゲンのブランドCEOであるトーマス・シェーファー氏は、「シロッコは非常に特別なモデルだ。他にもいくつか例を挙げることができるが、オリジナル車のDNAを強く反映していないのであれば、むしろ新しい名称を付け、別のクルマとして出した方がいいだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した。

フォルクスワーゲン・シロッコ
フォルクスワーゲン・シロッコ

このアプローチは市場動向とは逆行するものだ。フォード・カプリやオペル・フロンテラなど、一部の自動車メーカーは過去に販売していたモデルの名称を新型車に再使用している。

カプリのように、名称の再使用に対する世間の反応は必ずしもポジティブなものばかりではない。この名称はかつて、フォードのスポーツクーペに用いられていたが、昨年、Cセグメントの電動クロスオーバーで復活した。

このことについて言及したシェーファー氏は、「消費者の反応を見れば、これは間違いだ。あるものを本来と異なる名称で呼ぶ場合は、十分に注意しなければならない。例えば、GTIと呼ぶのであれば、それはGTIであるべきだ。それはフォルクスワーゲンのモデルであり、遺伝子に忠実でなければならない」と語った。

そのため、例えばSUVにシロッコの名称を使うようなことは決してないという。

シロッコの名称は、2017年に第3世代の販売が終了して以来、使われていない。

しかし、復活する可能性も残されている。昨年、AUTOCARでは、レトロな1970年代風デザインの電動スポーツカーとして、シロッコの復活がフォルクスワーゲン社内で検討中であるというニュースを掲載した。

もし市販化される場合、「新型シロッコ」ではポルシェの次期ボクスター/ケイマンで使用されるPPEプラットフォームの採用が考えられる。また、デュアルモーターを搭載した四輪駆動のフラッグシップモデル「シロッコR」が登場する可能性もある。

しかし、そのようなモデルの実現にはまだ時間がかかりそうだ。シェーファー氏は、ニッチなモデルや少量生産モデルは当面の間は導入されない可能性が高いと述べている。その代わり、財務難と戦いながら、ラインナップを「真のコア」モデルに絞り込む方針だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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