フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(2) 普段使いしやすく刺激的 サーキットで違い瞭然 過去イチにホット?

公開 : 2026.02.24 18:10

ゴルフ GTIの50周年を記念した特別仕様 ニュルのツイスティな区間でGT系の911へ匹敵 ベースはクラブスポーツ EA888型は325psへ 25kg軽くなるパフォーマンス・パック UK編集部が試乗

普段使いしやすいままサーキットで違い瞭然

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIの50周年を記念する、エディション50。エボ4へ進化したEA888型エンジンは325psを発生し、回転の反応はダイレクトで、ピーキーさがなく扱いやすい。フロントタイヤが受け止めきれないほど、パワフルでもない。

アクセルペダルを踏み込めば、ベースのGTI クラブスポーツより速いことは明らか。郊外を流すようなペースでは、そもそもトルクが太く、25psの増強は感じにくいだろう。しかし、許される環境で5000rpm以上を活用すれば、違いは瞭然となる。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

スポーティなドライブモードを選ぶと、吸気音が人工的に強調されつつ、勢いを増したパワーデリバリーを堪能できる。シフトパドルを弾けば、ギア選びも意のままだ。

アクラポビッチ社製マフラーのノイズも刺激的。スタートボタンを3秒長押しし、ブレーキを踏むと、アグレッシブな破裂音で始動させることもできる。同時に、通常のGTIと同じように、普段は周囲の交通へ馴染んだ運転も難しくない。

専用サスでも乗り心地快適 一線を画す軽快感

パフォーマンス・パッケージを装備した試乗車の場合、19インチの専用ホイールとタイヤが組まれ、バネ下重量は1本当たり4.5k軽い。通常のクラブスポーツよりサスペンションは引き締められ、ストロークは短いものの、乗り心地は充分快適な範囲にある。

可変式のDDCダンパーは、最も硬くしても、不快な衝撃までは伝えない。50周年の特別仕様として、もう少しシリアスさを求める人はいるかも知れないが、ゴルフらしく状況を選ばないホットハッチにある。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

ステアリングは調整を受け、手のひらへ伝わる感触はより濃密。旋回時の鋭さも、明らかに向上している。動的な軽快感は、通常のGTIとは一線を画す。

今回は、スペイン・バルセロナのカステッローリ・サーキットも走ったが、生憎の雨で、シャシーの実力を完全に引き出すことは難しかった。限界付近での正確性や落ち着き、リカバリーのしやすさは、どの程度なのだろう。

高速コーナーでの安定感はレーシングカー級

少なくとも、ずぶ濡れのコースをエディション50は巧みにこなした。ブレーキを強化する余地はありそうだが、グリップ状態を把握しやすく、高速コーナーでの安定感はレーシングカー級。小川のように流れる水たまりで、トラクションを失うこともなかった。

右足を丁寧に傾ければ、セミスリックと呼べるブリヂストン・タイヤのグリップは出色。ミシュランピレリの、サーキット向けタイヤを凌駕したといっていい。路面が乾いていれば、ホンダシビック・タイプR以上の速さを、絶賛していたかもしれない。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI エディション50 パフォーマンス・パッケージ(欧州仕様)

他方、シャシーバランスは、ここ25年間のベスト・ホットハッチのそれを、塗り替えてはいないかも。カーブでのアクセルオフ時の姿勢制御は、強い興奮を誘うものではない。レーシングドライバーのシリアスな扱いに、最適化されたように感じた。

積極性が増したフロントデフは、ノーズを鋭く巻き込む特性までは得ていない。トラクション・コントロールをオフにしても、パワーオン時はアンダーステア傾向にある。もっとも、ウェット・コンディションでの話だが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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