三菱自動車が東京大学らと取り組む、BEVのプラグ&チャージ実現【概要、本質、期待!自動車ニュースを読む】

公開 : 2025.03.11 07:05

【期待】日本の産官学連携は今後の自動車産業の発展へ

交通において馬車が自動車に置き換わったように、何らかの発明から普及に向かう過程は新技術の研究開発に支えられ、飛躍的に変革が進み、時代が移り変わる。

日本ではガソリンや軽油による内燃機関が自動車の中心で、慣習や利便性、経済合理性、そしてカーボンニュートラル燃料や水素による燃料電池の可能性といった様々な側面から、BEVはまだまだ普及途上だ。

軽商用EV『ミニキャブEV』の電流応答特性。
軽商用EV『ミニキャブEV』の電流応答特性。    三菱自動車工業

しかし逆に捉えれば、それだけBEVの研究領域は広く深いため、BEV一択ではないものの、研究に取り組み、全体のベストがどこにあるかを探究することが肝要だろう。

そういった中、いわゆる産官学連携において欧州等と比較すると、日本のシナジーが薄いと論じられることも多い。だから今回の発表は、日本の自動車産業が学術研究機関と共に研究開発する意義や価値を世に発信する観点からも、ポジティブに捉えることができる。

ビジネスにおいては必須で問われる収益性や経済合理性、マスプロダクション効果やグローバル事業と為替変動の対応といった各種要件から研究開発が制限される時でも、『産官学連携の基礎技術研究による未来創出』の機会は大事だ。

今回の発表も急速充電の際は? コストは? といった懸念は確かにある。しかし『PnC実現技術』の活用が、将来的に普通充電主体の自動車保有者のみならずシェアカー使用者の利便性も向上させ、さらには非接触充電のレーン(道路)との組み合わせで走行中に充電するといった、明るい未来の可能性に期待したい!

記事に関わった人々

  • 執筆

    橋爪一仁

    Kazuhito Hashizume

    ジャーナリスト。自動車業界を経て現在はアビームコンサルティング(エグゼクティブ・フェロー)。企画業務を中心に自動車のブランド・オリジナリティ時代におけるCASE、DX×CX、セールス&マーケティング、広報、渉外、認証、R&D、工場管理、生産技術、製造等の幅広い領域を研究、アドバイザー業務を中心に活動中。特に自動車を経済と技術の側面から分析するのが専門。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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