トヨタ・アルファード

公開 : 2015.02.24 23:30  更新 : 2021.01.28 17:10

若人の興味は室内の豪華さに集中していたのだが、そのほかにも新型アルファードヴェルファイアには注目の装備がたくさんある。そのひとつがリアに新開発のダブルウィッシュボーン式サスを採用した脚まわりだ。

スポーツカーの専売特許というイメージがあるダブルウィッシュボーン式サスだが、しなやかに動かすことで上質な乗り心地や高い静粛性というメリットも生む。高級サルーンらしく、穏やかで大陸ツアラーのようなゆったりとした乗り心地を楽しみつつも、ペースを上げていっても背の高さを感じさせることのない、安定したコーナリングを楽しむことができる。

もちろん高速道路を使用しての長距離移動は得意中の得意。高張力剛板の採用範囲拡大やスポット増しなどにより高められたボディは、継ぎ目を超えたときでもまったくキシミ音やロードノイズを感じさせることなくどっしりと構える。アクセルをちょっとひと踏みすれば、システム合計で35kg-mを超える大トルクにより約2.2tの巨体は瞬時に加速する。

■「買い」か?

自動車の目的を “A地点からB地点まで快適に速く移動するためのもの” とするならば、迷うことなく買いだろう。グレードはハイブリッドでなくても、もっともベース・グレードのXでもいい。どのモデルを選んでも、車内の居住性や動力性能は、それほど大きな差はないはずだ。

いわゆる “趣味的” な自動車愛好を自称する人たちにとっては、もっとも嗜好の対局にあると思われる高級Lクラス・ミニバンだが、移動手段としての実力は極めて高い。話題のエグゼクティブ・ラウンジ以外でも、通常の7人乗りや8人乗り仕様の2列目シートは充分以上の広さだし、3列目シートはオトナが実用に耐えうるくらいのスペースが確保されている。

静かで車内が広く、ストレスなく移動できるはずの運動性能、そして豪華な内外装。かつて高級セダンがウリとしていたセールスポイントは、現在すべてアルファード&ヴェルファイアに受け継がれているといっていい。そのうえ最新モデルでは、充実した脚まわりと鍛え上げられたボディ剛性が織りなす走りっぷりの良さも手に入れた。

いくつか気になる点を挙げるとするならば、過剰なまでに拡大され華美を尽くしたフロントグリルや、とてもミニバンとは呼べない小山のようなカタマリ感を誇るボディサイズくらいだろうか。新型アルファード&ヴェルファイアの登場でいちばん危機感を感じているのは、クラウンレクサス各モデルといった内輪かもしれない。

(文・佐橋健太郎 写真・高橋学)

トヨタ・アルファード・ハイブリッド・エグゼクティブ・ラウンジ

価格 703万6691円
最高速度 NA
0-100km/h加速 NA
燃費 18.4km/ℓ
CO2排出量 126g/km
乾燥重量 2220kg
エンジン 直列4気筒2493cc + 電気モーター
エンジン最高出力 152ps/5700rpm
エンジン最大トルク 21.0kg-m/4400-4800rpm
システム最高出力 197ps
ギアボックス 電気式無段変速

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