真の「Sクラス」へあと1歩 メルセデス・ベンツEQS 450+へ試乗 バッテリー増量で航続717km

公開 : 2025.03.27 19:05

扱いやすいMBUXインフォテインメント・システム

前席側は、高さ方向以外のゆとりは大きいものの、乗降性は余り優れない。シートの座り心地は素晴らしく、調整域は広く、マッサージ機能もオプションで追加可能。主な操作系のレイアウトも、メルセデス・ベンツらしく考え抜かれている。

MBUXインフォテインメント・システムは、比較的扱いやすい。タッチモニターへ触れるより、ステアリングホイール上のコントローラーでカーソルを動かす方が、筆者には向いているようだ。

メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)
メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)

スポークの左手側にハードスイッチのショートカットがあり、運転支援システムや充電情報などを簡単に確認できる。カーナビは、ゼロレイヤーと呼ばれる設計で、目的地を設定しやすい。制限速度警告も、すぐにオフにできる。

エアコンの操作はタッチモニター内で。ショートカット・メニューが常時表示され、ワンタッチで扱える。音声操作にも、もちろん対応する。

試乗車の後席側には、MBUXハイエンド・リアシート・エンターテインメントが実装されていた。前席背面に11.6インチのモニターが内蔵され、ワイヤレスヘッドホンが備わるほか、HDMI入力端子も用意される。

2636kgの車重を感じさせない動力性能

450+の動力性能は、上級サルーンとして過不足なし。スポーツサルーン級に速いわけではないが、運転しやすい。

試乗日は気温が低かったが、アクセルペダルを一気に倒しても上質なマナーでトルクが発生し、ホイールスピンの素振りはなかった。2636kgの車重を感じさせず、急な登り坂でも余裕を伴う。

メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)
メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)

駆動用バッテリーの管理は巧妙。激しい走行を繰り返したり、充電量が減っても、動力性能の低下は殆どない。

回生ブレーキの効きは、ステアリングホイール裏のパドルで選べる。ドライブモードとは独立しており、高効率を保ちやすく、機能的といえる。ブレーキペダルは、足の裏で回生から摩擦への切り替わりがわかる。

後輪操舵システムの効能で、サイズを忘れるほど小回りは利く。ただし、低速域でのリアタイヤの反応には、若干の不自然さが伴う。交差点などでは、慣れるまで突然ボディの向きが変わるように感じるだろう。

高速域での安定性は素晴らしい。直進性は見事で、ステアリングホイールは切り始めから確かな手応えがある。感触は豊かではないが、レシオも軽快側にある。

市街地での乗り心地は平静 現実的な距離は480km

サスペンションは、リムジンらしくソフトだが、カーブでのボディロールは良く抑え込まれている。路面が波打った区間を通過すると、船のような上下動が感取される。スポーツ・モードよりコンフォート・モードの方が、落ち着きは優れるようだ。

市街地での乗り心地は、よほど鋪装が乱れていない限り、感心するほど平静。4年前の発売時から、大幅に改善したように思える。ただし細かな凹凸は、速度域が上がるほど吸収しきれなくなる。世界最高クラスの快適性、とまではいえないだろう。

メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)
メルセデス・ベンツEQS 450+ ビジネスクラス (英国仕様)

車内のノイズは、80km/hでの走行中に58dbA。比較すると、i7 xドライブ60 Mスポーツは、60dbAとやや大きい。

運転支援システムは、車線維持支援やステアリング支援など現在のフルコースといえる、ドライビング・アシスタンス・パッケージプラスが標準。カメラ映像を利用し、高速道路での追い越しも技術的には可能だが、法的な理由で英国では利用できない。

衝突被害軽減ブレーキは、市街地での不自然な介入はなし。バックでの駐車時は、少し過剰に反応するようだった。

電費は4.1km/kWhと、車格的には高効率。実際に1度の充電で走れる距離は480kmほどで、メルセデス・ベンツの最上級サルーンとして、誇れるほどの持久力ではないが。

電動アーキテクチャは電圧400Vで、急速充電は競合より見劣りする。最大200kWが主張されるが、実際には平均135kW程度だ。

英国価格は、EQS 350で10万ポンド(約1950万円)弱から。試乗車は、オプション込みで12万9110ポンド(約2518万円)へ上昇していた。i7の設定と同等といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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