ベストセラーが3代目に 新型アウディQ5 TDIへ試乗 マイルドHV 多様なライフスタイルへ馴染む

公開 : 2025.04.08 19:05

雰囲気に合致するディーゼル 強みの乗り心地

今回はガソリンとディーゼルの両方へ試乗したが、オススメは後者。出だしからトルクフルで、7速デュアルクラッチATとの相性にも優れる。たくましく穏やかな質感は、Q5の雰囲気にも合致する。

ガソリンエンジンは、満足のゆく加速を得るのに、ある程度回転数を高める必要がある。トルクを有効に活かすため、ディーゼルと比べると、7速ATの変速も多め。シームレスさで若干劣るといえる。

アウディQ5 TDI エディション1(欧州仕様)
アウディQ5 TDI エディション1(欧州仕様)

どちらもマイルド・ハイブリッドで、電気モーターはエンジン側と7速AT側へそれぞれ実装され、24psをアシストできる。駆動用バッテリーは1.7kWhあり、低速なら電気だけで走行も可能。マイルドと呼ぶには充実した内容で、エンジンとの協調性も高い。

ブレーキは、感触が若干曖昧。ペダルの踏み心地が一貫せず、発生する制動力を予想しにくい場面がある。

試乗車には、英国では1725ポンド(約34万円)のオプション、エアサスペンションが装備されていた。走らせたのはスペインの新しい道路だったが、優れた乗り心地は強みの1つ。特にコンフォート・モード時は。

舗装が滑らかだったとはいえ、細かな凹凸を巧みに吸収。アスファルトの剥がれた穴を通過しても、綺麗になだめていた。それでいて、高速コーナーでボディがぐらつくほどソフトでもない。

ステアリングホイールは軽め。フィードバックは充分にある。同クラスのベストには及ばなくても、SUVとして運転を楽しめることは間違いない。全幅が1900mmとライバルより僅かに狭く、車線の中央を導きやすいのも美点だろう。

多様なライフスタイルへスムーズに適合する

上級志向な中型SUVは選択肢が多いものの、新しいQ5は検討候補の上位に加えたい仕上がりにある。エディション1は初回限定で6万2380ポンド(約1216万円)と高価だが、エントリーグレードのスポーツなら、1万ポンド(約195万円)ほどお安くなる。

多様なライフスタイルへ、Q5がスムーズに馴染めることは想像に難くない。驚きはないかもしれないが、盤石な正常進化で、先代から乗り換えても期待が裏切られることはないだろう。

アウディQ5 TDI エディション1(欧州仕様)
アウディQ5 TDI エディション1(欧州仕様)

◯:精悍で落ち着いた見た目 実用的な車内空間 先進的な車載技術
△:人間工学的に気になる部分のある車内 ライバルより若干お高め

アウディQ5 TDI エディション1(欧州仕様)のスペック

英国価格:6万2380ポンド(約1216万円)
全長:4717mm
全幅:1900mm
全高:1647mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:7.4秒
燃費:14.7-15.6km/L
CO2排出量:167-178g/km
乾燥重量:1955kg
パワートレイン:直列4気筒1968cc ターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:軽油
最高出力:203ps/3800-4200rpm
最大トルク:40.7kg-m/1750-3250rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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