まるで大きなゴルフ GTI? アウディSQ5 3.0(2) ここ10年で同社ベスト 操縦性と快適性がバランス

公開 : 2025.08.04 19:10

新世代へ生まれ変わったSQ5 3.0L V6のマイルドHVで367psと56.0kg-m アグレッシブさは控えめなボディ Q6 E-トロンと同等の内装 操縦性と快適性がバランス UK編集部が試乗

3.0L V6のマイルドHVで367psと56.0kg-m

新世代へ生まれ変わった、アウディSQ5。フロントノーズ内には、3.0L V6ガソリンターボエンジンが収まる。マイルド・ハイブリッドで、367psと56.0kg-mを発揮する。

このエンジンは、広い回転域でトルクフルなだけでなく、軽々と高域へ吹け上がる。現代のアウディの「S」として、動力性能にまったく不足はない。アイドリング時のノイズはやや大きめながら、走行時の響きにも聴き応えがある。

アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)
アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)

まるでディーゼルターボのように、変速要らずで速度調整が可能。最大トルクは1700rpmから4000rpmの間で生成され、基本的にこの範囲内でも速い。パワーデリバリーもリニア。かつての5気筒ユニットほどではないが、個性も感じられる。

7速デュアルクラッチATも優秀。ダイナミック・モードを選ぶと、僅かにクレッシェンドする排気音へ調和するように、素早く積極的に変速してくれる。コンフォート・モード時は、逆にゆったりギアは選ばれる。発進時に、ややもたつく場面は見られたが。

機敏なコーナリング 操縦性と快適性がバランス

その7速ATには、24psの電気モーターが組まれている。駆動用バッテリーは1.7kWhと大きくないが、短い距離なら電気だけでの走行が可能。速度域の低い市街地や渋滞時は、想像以上にエンジンを回さず進める。

回生ブレーキが実装されるが、摩擦ブレーキを動作させるにはペダルを予想より強めに踏む必要があり、制動力の立ち上がりが線形的ではない印象。慣れられる範囲とはいえ、パワフルなSUVだから、もう少し一貫性はあっていいだろう。

アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)
アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)

コーナリングは機敏で、実にアウディらしい。それでいて、穏やかに走りたい場面では上質な滑らかさで応えてくれる。操縦性と快適性のバランスに優れ、例えるなら巨大なフォルクスワーゲン・ゴルフ GTIといったところ。

その鍵を握っているのが、標準装備のアダプティブ・エアサスペンション。ポルシェ・マカン級の操縦性を得ているわけではないものの、動的能力の水準は間違いなく高い。最近のアウディの幅広いラインナップの中で、技術者の狙いが体現されている。

ゴルフ GTIのようにドライバーを満たす

カーブが連続する道で、有能さが表出する。ゴルフ GTIのように、積極的に駆け抜けられる。最高潮の興奮へ興じれるわけではないが、多くのドライバーを満足させるはず。

リムの上下がフラットなステアリングホイールは軽めだが、フィードバックは濃い。ダイナミック・モード時は、重さと感触が1段高まる。ひたひたとタイヤは路面を掴み、少し意欲的な操縦が必要とはいえ、小気味いい。

アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)
アウディSQ5 3.0 TFSI ローンチエディション(英国仕様)

1つ、車線維持支援機能は気になった。英国の交通環境では、車線を正しく認識できないのか、安定して動作しなかった。燃費は、今回の平均で11.3km/L。一度の満タンで、約640km走れる計算になる。

価格は、英国では7万6525ポンド(約1492万円)から。S仕様のボディキットに加えて、21ホイールにマトリックスLEDヘッドライト、パノラミック・サンルーフなどが標準装備。近年の物価上昇や、内容と性能を考えれば、納得できる設定だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 撮影

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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