635馬力のランドローバーと暮らしてみた ディフェンダー・オクタと蜜月2か月(1) 初日から予想以上の注目度

公開 : 2026.05.05 18:05

M5 CS由来のV8エンジンを積む、ディフェンダー P635 オクタ。ほぼ全域で生まれる最大トルクと、高性能サルーン級にフラットな乗り心地。UK編集部が、常用した2か月の印象を振り返ります。

未踏の大地が最も似合うディフェンダー

最新のランドローバーで、粗大ごみを捨てに行く。お恥ずかしながら、少しうぬぼれた自分がいた。入口を遮る黄色いバーは、運転席から見ると遙かに下。高さ制限の警告看板が、目線のすぐ上にある。事務室のガラスへ映る姿を、つい眺めてしまう。

公道が許されたディフェンダーでも、未踏の大地が最も似合うであろう「P635 オクタ」と、筆者は2か月ほど一緒に暮らした。ボンネットの下には、BMW M5 CS由来となる、マイルド・ハイブリッドのV8ツインターボが載っている。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)

威圧感は半端ない。トレッドは70mm拡幅され、車高は28mm上昇し、周囲のモノが小さく見える。ゴミの集積場へ横付けし、ドアを開き足を伸ばすが、地面へ届かず軽くジャンプ。隣の男性が「そんなクルマで来る必要があったの?」と話しかけてくる。

「荷室の開口部が四角くて、エアサスで車高を落とせるので、荷物の出し入れが楽なんです。良い選択ですよね?」。そう答えようかと思ったが、微笑むだけにした。

ダカールラリー優勝車のホモロゲ仕様

テールゲートには、ゴツいオフロード用スペアタイヤ。ホイールアーチの隙間からサスペンションが見えるほど、ボディの位置は高い。

英国価格は、16万3000ポンド(約3423万円)。実質的には、ダカールラリーを優勝したディフェンダー、D7X-Rのホモロゲーション仕様だと考えていい。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)

筆者が暮らすのは、ロンドンの北部。サッカーチーム、アーセナルの拠点から遠くない。P635 オクタで近所を流すと、初日から予想以上の注目度で戸惑う。呆れたような表情もあれば、共感したような笑顔もある。

筆者がお借りしているのは、初回仕様のエディションワン。フェロー・グリーン塗装が標準で、カーボン製トリムで飾られている。直径400mmのブレンボ社製ブレーキと、ロッキングデフも組まれた強化ドライブトレインは、P635 オクタで共通する。

ほぼ常用の全域で生まれる最大トルク

ラリーカーが履いていそうなアルミホイールは、鍛造の20インチ。フロントグリルはハニカム格子。カスタムカー的な雰囲気に、マッチョなクルマが好きな人は強く惹かれるはず。オフローダー版の、フェラーリ296 スペチアーレといえるかも。

停まっていても、オーラは半端ない。ランボルギーニウルスや、ロールス・ロイスカリナンより、主張は強いかもしれない。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)

最高出力635psの4.4L V8ツインターボ・ユニットは、ディフェンダー P525に載る5.0L V8スーパーチャージャー・ユニットとは別物。冷間時の排気音が控えめなことは、閑静な地域に住む人には朗報だろう。

マイルド・ハイブリッドがレスポンスを補完し、1800rpmという低い領域から76.3kg-mもの最大トルクが引き出される。5855rpmへ至るまで。ほぼ常用する全域といえ、3t近い車重があることを忘れさせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ディフェンダー・オクタと蜜月2か月の前後関係

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