時代を超越した美貌 メルセデス・ベンツ W111型カブリオレ(2) 戦後が香るフラッグシップ

公開 : 2025.04.27 17:46

長時間の高回転運転が想定されたM127ユニット

そんな印象は、220 SEbカブリオレでも概ね当てはまる。速度域は低く、ノイズはやや大きく、同等のパフォーマンスを引き出すには少し気張る必要はある。ステアリングは僅かに軽い。乗り心地は同じくらいしなやかで、変速はよりマナーが優れる。

2195ccが発揮する最高出力は、121ps。車重が1408kgあるカブリオレには物足りなく思えるが、遅いわけではない。こちらも現代の交通へ問題なく交われ、100km/h以上での巡航もコンフォートゾーンにある。

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

シュツットガルト生まれのSOHC直列6気筒、M127ユニットは、ショートストロークで高回転域まで綺麗に回る。6000rpmで173km/hへ届くよう、ギア比は調整されている。長時間の高回転運転は、予め織り込み済みだ。

燃料噴射が実装され、冷間時でも始動は1発。タイミングを図ってガソリンを送り、周囲の温度にも配慮した、ツインインジェクション・ポンプも組まれている。

W111型の2ドアモデルで、最も多く生産されたのは220 SEbだった。クーペとコンバーチブルを合わせれば、1万6902台がラインオフしている。それにも納得できる、好バランスだといえる。

ポール・ブラック氏が描き出した美しい姿

1961年から1971年にかけて製造された、2ドアのW111型は、1972年にSLCクラスへ道を譲った。現在でも支持を集める理由の1つは、ポール・ブラック氏が描き出した、時代を超越した美しいスタイリングにあるだろう。

1969年から1971年に作られた、280 SE 3.5へコレクターの注目が集まることには理解できる。フラッグシップの2ドアモデルとして、2気筒多いエンジンが追加された後期型は、W111型で最も高性能でありつつ、落ち着いた威厳を放っている。

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

しかし、同等に享受できる開放感を踏まえると、直6エンジンの220 SEbの優れた価値は見過ごすことができない。前期固有の、ディティールにも惹かれる。

こちらも、広いガレージへ複数の愛車を収めるような人が選ぶ価格帯にはある。それでも美貌と技術、運転体験を総合的に俯瞰すれば、より魅力的な選択だと筆者は思う。

協力:SLショップ

2台のW111型カブリオレのスペック

メルセデス・ベンツ220 SEbカブリオレ(1961~1965年/英国仕様)

英国価格:4414ポンド(新車時)/15万ポンド(約2925万円/現在)以下
生産数:1万6902台(クーペとカブリオレの合計)
全長:4883mm
全幅:1848mm
全高:1422mm
最高速度:173km/h
0-97km/h加速:12.4秒
燃費:6.4-9.2km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1408kg
パワートレイン:直列6気筒2195cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:121ps/5400rpm
最大トルク:18.2kg-m/5400rpm
ギアボックス:4速マニュアル/オートマティック(後輪駆動)

メルセデス・ベンツ280 SE 3.5カブリオレ(1969~1971年/英国仕様)

英国価格:7249ポンド(新車時)/30万ポンド(約5850万円/現在)以下
生産数:4502台(クーペとカブリオレの合計)
全長:4883mm
全幅:1848mm
全高:1422mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:9.4秒
燃費:5.0-10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1569kg
パワートレイン:V型8気筒3499cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/5800rpm
最大トルク:29.1kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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