乗らない方が不調を呼びがち フェラーリ308 GTB/GTS UK版中古車ガイド(2) 隠れたサビに要注意

公開 : 2025.05.03 17:46

スカリエッティ社のFRPボディで登場した308 GTB 仕様問わず魅了されるV8エンジン クアトロバルボーレで強化 タルガトップのGTSも 現実的なクラシック・フェラーリをUK編集部が振り返る

スペック問わず魅了されるV8エンジン

フェラーリ308 GTB/GTSのスタイリングを手掛けたのは、ピニンファリーナ社に在籍していたレオナルド・フィオラヴァンティ氏。非常に美しく、実用的なフォルムを導き出している。

ツインカムの3.0L V8エンジンは、初期のウェーバー・キャブレターがベストだといわれている。しかし、どのスペックでも充分にドライバーを魅了してくれる。特に3000rpmからの吹け上がりは素晴らしい。

フェラーリ308 GTS(1977〜1985年/英国仕様)
フェラーリ308 GTS(1977〜1985年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

シートへ身を納めV8エンジンを操れば、至高の時間へ没入できる。シャシーは、素晴らしい安定性で報いてくれる。それでもサスペンションの劣化や、エンジンの不調と無縁ではない。オーバーヒートのほか、ガソリンにオイル、クーラントの漏れには注意したい。

候補車両を確かめに行く場合は、販売店に予めエンジンを始動しないよう伝えておきたい。冷間時の始動性や回転具合を確かめられなくなる。エンジンは充分に暖気し、油温が上昇するまで高域まで回すべきでもない。

エンジン自体は堅牢で、丁寧に維持すれば16万km程度はリビルド不要といえる。フェラーリとしては整備性が良く、タイミングベルト交換は右側のホイールアーチライナーと、左側のクラッチを外せば可能。エンジンを下ろす必要はない。

定期的に乗らない方が不調を呼びがち

タイミングベルトの交換は安価ではないが、予防的に実施した方が良いという意見は多い。ウォーターポンプは故障しがち。新品は高価で、外した古いポンプをリビルドして使う方が賢明といえる。

初期のウェーバーキャブレターは、長期間放置しているとガソリンが気化して生まれる残留物が内部に溜まる。粘り気のある物質で、システムの詰まりに繋がり、メンテナンスの手間が増えてしまう。

フェラーリ308 GTS(1977〜1985年/英国仕様)
フェラーリ308 GTS(1977〜1985年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

点火タイミングを司るディストリビュータは、前期型ではバンク毎に1基づつ組まれていた。ポイントは2組あり、1つはアイドリング用で、もう1つは通常の走行用に別れている。点火コイルは1基のみ。後期型では、ディストリビュータは1基に集約されている。

欧州仕様では、1980年式までエンジンオイルはドライサンプ式だった。北米仕様と1980年式以降の欧州仕様は、ウェットサンプ式となる。

308 GTB/GTSは頻繁に乗らないでいると、走行距離が伸びた車両以上に多くの問題を抱えがち。上記のような不調も出やすくなる。少なくとも、毎週1回は公道を走らせてあげたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ308 GTB/GTS UK版中古車ガイドの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事