レトロな姿にマッスルカーの響き メルセデスAMG G 63へ試乗 4.0L V8はマイルドHVに

公開 : 2025.04.20 19:05

伝統的な姿のままハイブリッド化されたAMG G 63 過去にない高さの製造品質 AMGらしい内装の上級感 0-100km/h加速4.3秒 油圧アクティブライドで見事な姿勢制御 英編集部が評価

伝統的な姿のままハイブリッド化したAMG G 63

ご存知の通り、メルセデス・ベンツGクラスには、EQテクノロジーを名乗るバッテリーEV版が登場した。加えて、V8エンジンを積むメルセデスAMG G 63は、ハイブリッド化されてもいる。

とはいえ、環境性能へ完全に目覚めたわけではない。電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれた、V8マイルド・ハイブリッドにすぎない。富と力を象徴するような、自己主張の強い容姿のSUVであることに変わりもない。

メルセデスAMG G 63(英国仕様)
メルセデスAMG G 63(英国仕様)

費用対効果が高いとはいえない。車内空間やエネルギー効率は、同価格帯のSUVに届いていない。しかし、そんな縛りを無視できるほどの余裕があることを、オーナーが公へ主張できることも、Gクラスの売りの1つといえるかもしれない。

直接的なライバルは不在といえる。歴史という点では、ランドローバーレンジローバーが近い。動力性能では、ポルシェカイエン・ターボやアストン マーティンDBX707などと張り合える。だが、いずれも趣向は大きく異なる。

先日試乗した、ランドローバー・ディフェンダー・オクタが、最も接近した競合といえそうだ。価格に速さ、オン/オフでの性能で、肩を並べている。

スタイリングは、伝統を現代へ正当に受け継ぐという点で、高く称賛できるものだろう。露出したドアヒンジに、手袋をしていても困らないドアハンドル、フェンダー上のウインカーなどは半世紀前と変わりないが、デザインはアップデートされている。

過去にない高さの製造品質 AMGらしい上級感

ラダーフレームの上に、スクエアなボディが載るという構成は従来どおり。フロントピラーには、空気抵抗を低減するスポイラーが備わる。ほぼ手作業で製造されており、量産車でありながら、完成までに100時間が費やされるという。

製造品質は、過去にはない高さといえる。唯一、ドアキャッチャーを除いて。1970年代のオリジナルと同じように、ドアは思い切り引かないとしっかり閉まらない。好きな人を満たす、ガツンというノイズを放って。

メルセデスAMG G 63(英国仕様)
メルセデスAMG G 63(英国仕様)

シートへ腰を下ろすのは、身長が高い大人でも、よじ登る感じ。全長4825mm、全幅1931mm、全高1969mmというボディサイズを考えると、車内はそこまで広くない。腕を伸ばして、こった肩をほぐすことは難しい。特に後席側は。

運転席は視点が高く、眺めは路上の王者といった感じ。ダッシュボードには、メルセデス・ベンツ最新のMBUXインフォテインメント用の、12.3インチが2面並んだモニターパネルが載る。

アダプティブ・クルーズコントロールにキーレスエントリーなど、最新技術はふんだん。他方、エアコンの操作パネルには、実際に押せるハードスイッチが生き残る。直感的に扱え、運転中の視線移動は最小限で済む。

内装の質感には、従来的なメルセデスAMGらしい上級感が漂う。全体のレイアウトにも。荷室は、奥行きがあまりない反面、高さ方向に広い。スーツケースなどは、縦に重ねて積むことになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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