ロールス・ロイス・ファントムの100年を振り返るアートワークとエピソード

公開 : 2025.05.12 08:05

銀幕の主役となったファントム

ハリウッドの映画業界もまた、ファントムを熱狂的に受け入れた。映画の先駆者の1人であるワーナー・ブラザースの共同創設者ジャック・ワーナーは、自分へのご褒美としてファントムを手に入れた。

さらにフレッド・アステア、グレタ・ガルボ、メアリー・ピックフォードといった伝説的な銀幕スターたちも、ファントムのオーナーとして名を連ねている。

1964年の映画『ゴールドフィンガー』(邦題:007/ゴールドフィンガー)に登場したロールス・ロイス・ファントムIII。GOLDFINGER (C)  1964 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved
1964年の映画『ゴールドフィンガー』(邦題:007/ゴールドフィンガー)に登場したロールス・ロイス・ファントムIII。GOLDFINGER (C) 1964 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved    ロールス・ロイス

1964年にファントムは『ゴールドフィンガー』(邦題:007/ゴールドフィンガー)に登場し、スクリーン上でもその存在感を示した。

劇中で敵がファントムIIIを使って金塊を密輸するシーンが描かれ、長年続く『ジェームズ・ボンド』シリーズにおける通算12回のロールス・ロイス登場の先駆けとなった。

ロールス・ロイスは2004年、この映画の60周年を記念して、ワンオフのビスポーク・ファントムVIII『ファントム・ゴールドフィンガー』を発表している。

同じく1964年には、映画『黄色いロールス・ロイス』が公開され、レックス・ハリソン、イングリッド・バーグマン、シャーリー・マクレーン、オマー・シャリフ、ジョージ・C・スコット、アラン・ドロン、ジャンヌ・モローといった豪華キャストとともに、1931年のファントムIIがスクリーンに登場した。

主題歌の『明日を忘れて』はゴールデングローブ賞を受賞し、後にペリー・コモやフランク・シナトラによってカバーされたが、シナトラ自身もまた、後にロールス・ロイスのオーナーの1人となっている。

新時代の成功者の象徴となったファントム

2000年代初頭に登場したファントムVIIは、自らの手で成功を掴む起業家の台頭や、グローバルなセレブレティ文化、そしてソーシャルメディアの幕開けと時を同じくして誕生した。

彼らはこれまでのラグジュアリーの概念にとらわれず、単なる成功ではなく、自らの個性を表現したいと望んでおり、ファントムはまさにその理想的なキャンバスを提供することとなった。

ロールス・ロイス・ファントムVII ドロップヘッド・クーペ
ロールス・ロイス・ファントムVII ドロップヘッド・クーペ    ロールス・ロイス

やがて、こうした新しい分野で成功を収めた多くの人々がファントムに投資し、自らのオーナー体験をSNSや動画プラットフォームを通じて世界と共有するようになった。

ファントムの存在感が高まるにつれ、授賞式やガライベントといった場にも欠かせない存在となっていった。オーナーたちはエフォートレスで優雅に、そして堂々とファントムからレッドカーペットへ降り立つようになった。

2012年のロンドンオリンピック閉会式では、3台のファントム・ドロップヘッド・クーペがサプライズ登場を果たし、この記念すべき場面を華やかに彩った。このような瞬間は、数百万もの視聴者にリアルタイム配信され、ファントム自身がソーシャルメディア上のスターとなったのだ。

表現に満ちた物語の新章となる、今日のファントム

現在、第8世代となったファントムは、依然として存在感と目的意識の究極の表現であり続けている。

サーチ・ギャラリーやサーペンタイン・ギャラリーなどの文化的施設で展示され、エルメスやイリス・ヴァン・ヘルペンといったブランドとのコラボレーションのキャンバスとしても機能している。

ロールス・ロイス・ファントム VIII
ロールス・ロイス・ファントム VIII    ロールス・ロイス

ファントムは今日もなお世界を映し出し、そして形づくり続けている。新たに登場する、より精緻を極めたビスポーク・コミッションは、この比類なき物語にさらなる一章を加えていく。それは、力強さ、文化、影響力、そして個性の表現に満ちた物語なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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