【激戦区ミドルクラスミニバン】ホンダ・ステップワゴン新グレード投入!エアーとスパーダを装備ではなくデザインで選べるように

公開 : 2025.05.15 11:00

ホンダはミドルクラスミニバンの『ステップワゴン』に、新グレード『エアーEX』と『スパーダ・プレミアムライン・ブラックエディション』を追加しました。主にエアーとスパーダの装備差を改善しています。篠原政明の解説です。

「エアーのデザインは好きだが装備が不満」という声

5月15日、ホンダはミドルクラスミニバンの『ステップワゴン(STEP WGN)』に、新グレードの『エアー(AIR)EX』と『スパーダ・プレミアムライン・ブラックエディション(SPADA PREMIUM LINE BLACK EDITION)』を追加して、5月16日に発売すると発表した。

ステップワゴンは、ホンダのミドルクラスミニバンだ。初代は1996年、まだキャブオーバータイプの1ボックスワゴンが主流の時代にFFベースでボンネットがある、いわゆる『ミニバン』のハシリとして登場した。現行型は、2022年に登場した6代目にあたる。

ホンダ・ステップワゴンに新グレード『エアーEX』(左)と『スパーダ・プレミアムライン・ブラックエディション』(右)追加。
ホンダ・ステップワゴンに新グレード『エアーEX』(左)と『スパーダ・プレミアムライン・ブラックエディション』(右)追加。    田中秀宣

トヨタノア/ボクシー、日産セレナとともに、ミドルクラスミニバンの市場でしのぎを削りあっている。いまやミニバン市場において、ミドルクラスはセグメントシェア約50%を占める激戦区であり、競合他社も次々のモデルチェンジを実施し、競争環境が激化している。

現行型ステップワゴンも発売開始からほぼ3年を経たところで、テコ入れを図るためにも今回の新グレード投入が行われたというわけだ。

圧倒的にスパーダのほうが売れている

現行型ステップワゴンでは、いわゆる標準タイプを『エアー』と名づけ、シンプル&クリーンなデザインで新しい世界観を求めるユーザーにアピールした。いわゆるカスタムタイプの『スパーダ』は、より強い存在感や精悍さを主張して、力強いデザインを求めるユーザーにアピールした。

ところが現在、ステップワゴンの販売比率は、エアーが約15%、スパーダが約85%と、圧倒的にスパーダのほうが売れている(ホンダ調べ、以下のデータも同じ)。シンプルなデザインのエアーはもっと人気を集めるかと思ったのだが、これには理由があった。

「デザイン的にエアーを気に入ったお客様でも、シートヒーターやオットマン、ブラインドスポットインフォメーション、本革巻きステアリングホイールといった装備が設定されていないため、スパーダを選んだという方が多いのです」と、今回のステップワゴン開発責任者である寺田泰浩氏が語っているのだ。

装備を充実させてエアーの人気アップを図る

現行型ステップワゴンは今まで前述のように、装備の関係でスパーダの立ち位置がエアーより少し上にあった。それゆえ人気グレードは、1:スパーダ、2:スパーダ・プレミアムライン、3:エアーの順だった。そこで、エアーの装備をスパーダと同レベルに揃えて、エアーとスパーダの立ち位置をイーブンにするのが今回の狙いだ。

つまり、「装備で選ぶのではなく、好きなデザインでステップワゴンを選んでもらえるようにした」(寺田氏)というわけだ。

追加設定された『エアーEX』は、エアーをベースに装備を充実させた。
追加設定された『エアーEX』は、エアーをベースに装備を充実させた。    田中秀宣

今回追加設定された『エアーEX』は、エアーをベースに、本革巻きステアリングホイール、トリプルゾーンコントロールフルオートエアコン、ステアリングコラムのパドル(e:HEVは減速セレクター、エンジン車はパドルシフト)、運転席&助手席シートヒーター、2列目オットマン付きキャプテンシート(7人乗り)、全席USBチャージャー、パワーテールゲートといった、「コレが付いていればエアーにしたのに!」といわれるような装備を充実させた。

より快適性と利便性を高めた

とくにパワーテールゲートはメモリー機能付きで最小開度を約22°と従来の約52°より約半減し、開閉に必要なスペースも約910mmから約480mmと大幅に少なくしたことで、奥行きの少ない場所でもラゲッジルームから荷物を出し入れしやすくしている。

こうした装備の充実で、エアーの特長であるシンプルで親しみを感じさせるデザインや、開放的で心地良い室内空間はそのままに、より快適性と利便性を高めている。なお『エアー』グレードはエンジン車のFFのみとなる。

また、エアーの人気ボディカラーは、1:プラチナホワイトパール、2:フィヨルドミストパール(エアー専用色)、3:クリスタルブラックパールとなっているが、今回、シーベットブルーパール(エアー専用色)とメテオロイドグレーメタリックの2色が新たに追加された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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