日産、新型EV『マイクラ』欧州導入 ボリューミーで丸みのあるデザインへ 航続距離408km

公開 : 2025.05.22 06:45

プレミアム志向の仕上がり

インテリアは5とほぼ同一で、2つの10.25インチディスプレイ、スイッチ類、素材は同じだが、カラーバリエーションはホワイト、グレー、ブラックと、落ち着いた組み合わせになっている。

これは、5よりもプレミアムな製品として位置付けることを目的としたものだ、と欧州マーケティング責任者アルノー・シャルパンティエ氏はAUTOCARに語っている。そのため、価格はルノー5の2万2995ポンド(約440万円)よりも高くなると見込まれる。

インテリアは兄弟車のルノー5よりもプレミアム志向だという。
インテリアは兄弟車のルノー5よりもプレミアム志向だという。    日産

マイクラのデザインを大幅に変更した理由について、シャルパンティエ氏は次のように説明した。

「英国は欧州でも圧倒的に重要な市場(2024年初頭から13万3000台を販売)なので、何か新しいものを提案する必要がありました」

「この新型車は、人々が『マイクラ』という車名を見て思い浮かべるイメージと、ギャップがあると思います」

「若い購入者がターゲットです」

シャルパンティエ氏によると、英国のマイクラの購入者層は、他の地域とは異なっているという。例えば、フランスやスペインでは購入者の年齢が若く、「ほぼ95%が女性」だ。そのため、「ジェンダーニュートラルな(性別を問わない)デザインにしたかった」とのこと。

「真の課題は若返りです。英国では “おばあちゃんのクルマ” というイメージが根付いていますが、大胆で遊び心のあるデザインを通じて、現代の若い親世代など、新たな顧客層を獲得できると確信しています」と同氏は言う。

日産の再活性化を担う重要な1台

EVへの切り替えは販売に影響を与えるかという質問に対し、シャルパンティエ氏は「これはEVであるということを説明する必要があるでしょう。ルノー5では説明する必要がありました。それが事実です」と答えた。

5は今年に入って欧州で1万6948台を販売するなど、好調ぶりを見せている。その人気の理由の1つは低い価格設定にあり、シャルパンティエ氏は、完全電動化がマイクラの販売を妨げるという見方に異を唱えた。

富士山のモールドなど、日本らしい要素が随所に散りばめられる。
富士山のモールドなど、日本らしい要素が随所に散りばめられる。    日産

「ブランドは非常に強力です。例えば、マイクラというブランドは英国では5よりも強いと確信しています。おそらくイタリアでも同様でしょう。そのため、この点については心配していません」

さらに、シャルパンティエ氏は、新型リーフと次期型ジュークの導入が、苦境に立たされる日産を活性化させるだろうと考えている。

「この新しいEVラインナップは、わたし達を競争に復帰させるでしょう」と同氏は期待を寄せた。

新型マイクラの生産は、ルノー5と同じフランス・ドゥエでの工場で行われる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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