究極の308 GTB 2005年まで継続のアヴァンティ 無名から伝説まで FRPボディの珍車・名車(3)

公開 : 2025.06.29 17:55

スチュードベーカー・アヴァンティ(1962〜1963年)

今はなきアメリカのスチュードベーカーは、1961年に経営不振へ陥り、ブランドの再起が求められた。そこで新社長へ就任したシャーウッド・エグバート氏は、数週間という短時間で、まったく新しいグランドツアラーの構想を練りあげる。

このアイデアを共有した友人の工業デザイナー、レイモンド・ローウィ氏は、1か月で美しいクーペを創出。1/8スケールのモデルはすぐに承認され、1962年のニューヨーク・モーターショーでお披露目されると、大きな注目を集めた。

スチュードベーカー・アヴァンティ(1962〜1963年)
スチュードベーカー・アヴァンティ(1962〜1963年)

未来的なFRP製ボディのアヴァンティには、処理しきれない注文が殺到。当初は社外へ生産を委託していたボディは、すぐに自社生産へ切り替えられた。

しかし、納車の遅さを理由にキャンセルは止まらなかった。スチュードベーカーは資金繰りが悪化し、クリスマスが目前に迫った1963年12月、約4650台がラインオフした時点でアヴァンティは生産中止に。インディアナ州の工場も、閉鎖に至った。

★マニアな小ネタ:スチュードベーカーのディーラーだった2社が協力し、1965年からアヴァンティは再生産されている。断続的に、2005年まで提供は続いた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ゲイリー・アクソン

    Gary Axon

    英国編集部ライター
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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