V8の63を間接的に置換 W214 メルセデスAMG E 53(1) ガソリン不燃で100km走るV6 HV採用

公開 : 2025.06.25 19:05

直6プラグインHVで585psのAMG E 53 電気で最長101km走行可能 意欲的なボディに高性能さを実感する車内 エンジンとモーターの高い協調性 車重の影響を隠さない操縦性 UK編集部が試乗

3.0L直6プラグインHVのE 53 585ps

好戦的で騒々しく、剛腕を誇ったスーパーサルーン、E 63は、メルセデスAMGの電動化計画へ呑まれるように幕を閉じた。16年間、3世代に渡って築きあげてきた、類まれな名声とともに。AMGは先日、V8エンジンの復活を明らかにしたが。

それを間接的に置き換えるモデルとなるのが、今回試乗するE 53。直列6気筒ターボエンジンに駆動用モーターとバッテリーを組み合わせた、プラグイン・ハイブリッドだ。特徴的なV8ツインターボは失ったが、動力性能は申し分ない。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)

エンジンは、先代E 53にも搭載されていた3.0L直6がベース。大型ターボとダイナミック・エンジンマウントを獲得し、冷却系にも改良を受け、単体で449psと56.9kg-mを発揮する。

ハイブリッドは同社がP2と呼ぶシステムで、9速ATの上流側へ組まれる駆動用モーターは、163psと48.8kg-m。システム総合での最高出力は585psで、最大トルクは76.3kg-mとかなりのもの。先代のE 53を、152psと23.4kg-mも凌駕する。

電気だけで最長101km走行可能

この大パワーは、4マティック+を介して四輪へ伝達される。左右のリアタイヤへ伝わるトルクを自在に調整可能な、トルクベクタリング機能も備わる。

ドライブモードはインディビジュアル、バッテリーホールド、エレクトリック、コンフォート、スポーツ、スポーツ+の6種類。AMGダイナミックプラスを組むと制御ソフトが専用になり、追加になるレーススタート・モード時に限り、611psへ上昇する。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)

駆動用バッテリーは荷室の床下へ搭載され、容量は21.2kWh。電気だけで最長101km走れると主張され、ガソリンを燃やさず日常利用をまかなえる。充電はDCの最大で60kW、ACでは11kWに対応する。

英国価格は、9万2120ポンド(約1796万円)からで、BMW 550eとM5の中間といえる。オプション次第で、簡単にM5へ迫るが。

通常のEクラスより明確にアグレッシブ

スタイリングは、通常のEクラスより明確にアグレッシブ。フロントバンパー下部には大きなエアインテークが開けられ、イルミネーションが内蔵されるAMG専用のフロントグリルが表情を引き締める。

トレッドが広げられ、前のフェンダーラインは11mm広い。ドア下のサイドシルにはブラックのフィンが与えられ、テールゲートには控えめなリップスポイラーが載る。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(英国仕様)

後ろ姿で目立つのは、4本出しのテールパイプ。中央部分に大きなディフューザーが組み込まれた、バンパーも専用デザインになる。

アルミホイールは標準で20インチ。オプションで、鍛造の21インチも指定できる。ブレーキディスクは、前が直径390mmの複合素材で、後ろが360mmのスチール製。キャリパーは、4ポッドに1ポッドという構成だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

W214 メルセデスAMG E 53の前後関係

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