ホンダ、EV戦略を見直し 低燃費の次世代ハイブリッド「13車種」導入、1.5Lと2.0Lを設定へ

公開 : 2025.06.05 18:45

ホンダは2030年までのEV投資額を3兆円減らし、次世代のハイブリッドモデルの開発に力を入れる計画です。排気量別に2種類のパワートレインを用意し、熱効率の向上と軽量化により低燃費を実現するとのこと。

ハイブリッド車を強化

ホンダは、EVの販売不振に対応するため、「世界最高効率」と称する内燃エンジンを搭載した新型ハイブリッドモデルを発売する。

2027年から2030年にかけてグローバルラインナップを刷新し、現行のシビックとジャズ(日本名:フィット)の後継車を含め、少なくとも13車種を投入する計画だ。EVが普及するまでの「移行」期間を乗り切るための対応策とする。

ホンダ・シビック
ホンダ・シビック    ホンダ

ホンダのCEOである三部敏宏氏は略の見直しについて、「ハイブリッド車の需要は増加している」一方で、「EV市場の拡大は当初の予測を下回っている」と述べた。

三部氏は、米国でのCO2排出量とEV販売目標の緩和がEVの成長鈍化の主な要因だとし、これらは「EV普及の主な前提条件」だったと指摘した。

新開発のハイブリッド・パワートレインは、排気量1.5Lおよび2.0Lの2種類が用意される。これは、現行のジャズやフィットのエンジン排気量と同じだ。

1.5Lバージョンは、現在よりも40%広い回転域で最大トルクを発揮し、パワーを損なうことなく効率を最大化する。ホンダは、どちらのバージョンも、市販の内燃エンジンの中で最高の熱効率を実現すると主張している。一方、電気モーターは小型化し、軽量化と省スペース化を図る。

これらを組み合わせることで、燃費が最大10%向上するという。参考までに、現在の1.5Lのジャズは約26km/l、2.0Lのシビックは約24km/lの燃費を実現している。

この2種類のパワートレインと同時期に、ドライバーの運転感覚、快適性、安全性を向上させるという新しいプラットフォームを導入する。中型車では、現在のプラットフォームよりも90kg軽量になり、ボディもさらに10%軽量化する。

コスト削減も、ホンダの次世代車の開発における重要な指針だ。新プラットフォームを採用したモデルは、エンジンルームやリアフロアなど、少なくとも60%の部品を共用する。また、新ハイブリッド・パワートレインは、2023年発売モデルよりも生産コストが30%抑えられる。

EV投資を3割減らす

ホンダは2030年度までのEVへの投資を3兆円削減し、総額7兆円としたが、EV開発へのコミットメントは維持している。三部氏は、「2030年以降、バッテリーEV事業を当社の事業の中核の1つとして位置付けたい」と述べた。

来年米国で発売予定のEV『0シリーズ』は、市場へのアプローチをこれまでと大きく転換したものだ。最初に箱型のSUVと未来的なセダンを発売し、その後、7人乗りモデル、小型・中型クロスオーバー、そしてテスラモデル3に対抗するセダンを投入する予定だ。

0シリーズの『サルーン』EV
0シリーズの『サルーン』EV    ホンダ

0シリーズはホンダブランドの未来を象徴しており、ハイブリッド車とは共有されない革新的なデザイン言語を採用する。ただし、0シリーズ専用に予定されていた新しいホンダエンブレムは、全車種に展開される。

ホンダのデザインセンター長である南俊叙氏は、AUTOCARの取材に対して、「ハイブリッド車と内燃エンジン車はデザイン面で異なりますが、ダイナミックでシンプルであることが、今後の全モデルのキーワードとなります」と語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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