【特別仕様に秘策あり】セルモーターにも仕事させて!マツダCX-60がトレッカーだけに採用した燃費向上策とは?

公開 : 2025.07.22 11:45

マツダはCX-60の商品改良に際し、特別仕様車『XDハイブリッド・トレッカー』を発売。装備充実だけではなく燃費性能向上策を施し、2030年燃費基準を達成しています。約1500kmを走った内田俊一のレポートです。

2030年燃費基準を達成

マツダCX-60の商品改良に際し、XDハイブリッド・エクスクルーシブ・スポーツをベースにした特別仕様車、『XDハイブリッド・トレッカー(Trekker)』を発売。アウトドアのレジャーで活躍する装備を充実させただけではなく、燃費性能向上策を施した結果、2030年燃費基準を達成した。

今回は1500kmほど走らせて、その効果を体験することができた。まずはトレッカー独自の、特に燃費性能向上について記しておこう。

マツダCX-60の特別仕様『XDハイブリッド・トレッカー』。
マツダCX-60の特別仕様『XDハイブリッド・トレッカー』。    神村聖

簡単にいってしまうと、マイルドハイブリッド搭載車の場合、ほぼ全域において『P2モーター』でエンジンを始動させ、駆動にも使用している。しかしトレッカーは、その一部のシーンでエンジン始動を『セルモーター』に任せているのだ。

クルマのおしがけをした経験のある方ならわかると思うが、クラッチを繋いだ瞬間、大きな抵抗を感じるだろう。つまりそれだけエンジン始動には力が必要だ。P2モーターはエンジン始動と駆動の両方を担っているので、いつエンジン始動が行われるかわからない状況では、常にその余力を残しておかなければならない。

その結果として、電動走行できる距離が少なくなっていたわけだ。極端な例えをすると、エンジン始動用に蓄えている力が約80%、走行用が約20%と書けばわかりやすいだろうか。そこでエンジン始動用の力をセルモーターにも負担させるようにすれば、電動走行用の割合が増えるわけだ。

まずはトレッカーのみで

ただし、スターターを使う場合のシチュエーションは限られている。基本的には2~5速の約40km/h以下の領域で走行している時だ。従って信号停車時などからのエンジン再始動は、P2モーターによって行われる。これは静かな始動が求められていると判断した結果だ。

また、アクセル全閉減速時のエアコン要件(エアコンがエンジン始動を要求した際)やアクセル操作に関係なくステアリングをある程度切った時なども、P2モーターでの始動となる。

ジルコンサンドメタリックは特別仕様車限定カラーとなる。
ジルコンサンドメタリックは特別仕様車限定カラーとなる。    神村聖

ではなぜ今回トレッカーのみに採用されたのか?

このクルマのターゲットは、アクティブなライフスタイルの顧客を想定しており、特別仕様車限定カラーのジルコンサンドメタリックを設定。これは、「自然の中で映える色であり、アウトドアレジャーで活躍するアイテムも設定したことで、どこまでも走って使って頂きたいという思いからラインナップされた」とマツダ商品開発本部主査の柴田浩平さんは語る。

そして、「高価格SUVなのに燃費を良くするというのは、あまり世の中にはない発想です。燃費が良いことによる環境対応だけではなく、どんどん乗ってどんどん楽しんで頂きたいんです」と導入理由を説明。また、使用用途を踏まえると、スターター始動による音が若干あったとしても大丈夫ではないかという判断もあったようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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