プロトタイプだけの超高性能 ポンティアック・トージャン(2) きっと完成時はドッカンターボ

公開 : 2025.08.17 17:50

とても状態の良いトランザムのような走り

ブレーキは、ポンティアックのトランザム用オプションが組まれているだけ。300km/h以上の速度域では、明らかに役不足なはず。そのかわり、英国の一般道を走らせるのに、過剰ではないパワー感ではある。

4速ATは、太くなったトルクに合わせてアップグレードされている。停止中にDを選択すると勢いよく繋がり、ブレーキペダルを踏んだままでもトージャンは進みたがる。800馬力の勢いではないとしても、確かに速い。

ポンティアック・ファイヤーバード(3代目/1982〜1993年/北米仕様)
ポンティアック・ファイヤーバード(3代目/1982〜1993年/北米仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「とても状態の良い、トランザムのような走りだと思います。特に、サスペンションの設定は最高ですね」。カウランドが話す。乗り心地は快適で、ステアリングも正確。典型的なアメリカン・マッスルカーとは、印象が大きく異なる。

時速200マイル以上の性能はプロトタイプだけ

最高速度は時速206マイル(約331km/h)だという、開発者のラッセル・クヌーセン氏の主張は、大げさなものではないだろう。カウランドも、そう考えている。V8エンジンに並ぶターボの大きさと、バンクスの技術を鑑みれば、不可能ではない。

量産車だと表現することに疑問は残るが、1985年から1991年にかけて、136台のトージャンが提供されたことも事実ではある。限られた生産数ながら、ポンティアックの期待へ応えた内容でもあった。

ポンティアック・ファイヤーバード(3代目/1982〜1993年/北米仕様)
ポンティアック・ファイヤーバード(3代目/1982〜1993年/北米仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

それでも、殆どには自然吸気のV8エンジンが載った。ターボチャージャーやスーパーチャージャーを希望した顧客は、1人づつしかいなかった。300km/h以上の性能が与えられた例は、プロトタイプだけだったことも間違いではない。

実は、クヌーセン・オートモーティブ社は、アメリカ・ネブラスカ州で事業を続けている。「他社がボディを与えたモデルとして、当時では優れたデザインの1つだったと思います。充分な注目も集めましたよ」。クヌーセン本人が振り返ってくれた。

ポンティアック・トージャン・ツインターボ(1985~1991年/北米仕様)のスペック

北米価格:6万2000ドル(新車時)
生産数:136台(トージャン合計)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:331km/h
0-97km/h加速:7.3秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1510kg
パワートレイン:V型8気筒5733cc ツインターボチャージャーOHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:811ps/4800rpm
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:4速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポンティアック・トージャンの前後関係

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