プロトタイプだけの超高性能 ポンティアック・トージャン(2) きっと完成時はドッカンターボ
公開 : 2025.08.17 17:50
ファイヤーバードがベースのスーパーカー、トージャン ハイオクで900psのV8ツインターボ 331km/hに達した?プロトタイプ 走りは最高状態のトランザム UK編集部が貴重な1台をご紹介
もくじ
ーフェラーリ308 GTBに並んだ特別仕様の価格
ー少し放っておいても復活できるアメリカ車
ー1985年にはドッカンターボを味わえたはず
ーとても状態の良いトランザムのような走り
ー時速200マイル以上の性能はプロトタイプだけ
ーポンティアック・トージャン・ツインターボ(1985~1991年/北米仕様)のスペック
フェラーリ308 GTBに並んだ特別仕様の価格
ゲイル・バンクス氏が組んだ、特別なV8エンジンを積んだポンティアック・トージャンは、この1台しか作られていない。オプションで希望は可能だったものの、価格はフェラーリ308 GTBに並び、二の足を踏ませたのだろう。
ポール・カウランド氏が所有するトージャンはプロトタイプで、1985年にグレートブリテン島へ運ばれ、所在がわからなくなっていた。ところが偶然にも、彼がテレビ番組の撮影で話しかけた人物は、それを購入した男性の息子だった。

「素晴らしい話を聞かせてくれました。購入した彼の父は、とても大切にしていたそうです。亡くなって以降、絶対に手放せない気持ちのままだと教えてくれました。でも、念のため名刺を渡したんですよ」
カウランドが続ける。「取材を終えて帰宅する途中、電話が鳴りました。自分がクルマにピッタリの人物だと話してくれて、納得できる価格が提示されたんです。プロトタイプだったことは、その時点では知りませんでした」
少し放っておいても復活できるアメリカ車
レッドのトージャンには、デモ車両としてほぼすべてのオプションが盛り込まれていた。ゴッティ社製のアルミホイールに、LCD式のメーターなど。
約50台のカーコレクションを保有するカウランドだが、運転は難しいという。「ようやく、クルマのことを理解してきた感じです。今買わなければ二度と手に入らないという強迫観念で、コレクションは増えてしまうんですよね」

彼が購入してからも、4年間ほど放置されていたらしい。「アメリカ車は、少し放っておいても復活できる点が好きですね。ブレーキフルードの交換など、簡単な整備で再び走るようになる場合が殆どです」
1985年にはドッカンターボを味わえたはず
ジャンプケーブルをつなぎ、トージャンのV8エンジンを始動。アクセルペダルを軽く踏むだけで、2つのヘッドが左右に揺れる。ターボチャージャーの唸りはなく、ブローオフバルブの悲鳴も聞こえない。
カウランドの話では、ターボブーストは本域まで上昇しないという。「完成直後には、高品質な鍛造部品が多用されていたはずですが、どこかの段階でのリビルド時に、質の悪い部品で代用されたんじゃないでしょうか」

アクセルペダルを踏み込んでも、ダッシュボードのブースト計は大きく変化しない。ボートの場合は、基本的に高域で回り続けるため、ターボラグは問題にならない。大径だから、ブースト圧を充分に高めるのに、そもそも相当な時間が必要だろう。
恐らく1985年の時点では、強力に打ち出されるドッカンターボを味わえたはず。「本来の状態へ戻すのに、どれくらい費用がかかるんでしょうね」。彼がつぶやく。









































































































