悩みは入手困難パーツ モーガン・エアロ8 UK版中古車ガイド(2) 実車の方がカッコイイ

公開 : 2025.10.11 17:50

アルミ製シャシーにBMWのV8を得たエアロ8 寄り目のライトはシリーズ3で矯正 入手困難な部品が維持の課題 多くの人が満たされる運転体験 UK編集部が中古車で魅力を振り返る

入手困難パーツ多し オイルパンの凹みに注意

モーガンエアロ8を維持する上で、最大の悩みとなっているのが独自開発の部品たち。入手困難なアイテムが多く、見つかっても修理は高額になりがち。少量生産のスポーツカーという性質上、避けられない事実ではある。

英国には熱心なマニアが存在し、スペアパーツを沢山ストックしている場合がある。壊れた部品の修理を請けてくれたり、新しく作ってくれる工房も少なくない。諦めず、時間を掛けて探す価値はあるだろう。

モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)
モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

エンジンの搭載位置が低く、モーガン独自の浅いオイルパンは凹みやすい。後期型の4.8Lユニットの中には、路面へぶつかった衝撃でサンプが押し上げられ、潤滑不良で故障した例もあるという。サンプガードの装備は、賢明な選択といえる。

樹脂製のオイルフィルター・ハウジングも同様。割れるとオイル供給に支障をきたす。

サイドマフラーはシリーズ2以降のオプション

トランスミッションは堅牢。駆動系の僅かな異音などは、余り心配しなくて良いようだ。走行中は想像以上にうなりも聞こえるが、これは防音性が低いため。オートマティックの場合は、マニュアルモードやブリッピング機能の状態を確かめたい。

サスペンションのボールジョイントや、ハブベアリング、ステアリングラックは摩耗しがち。スプリングやダンパーは、SSL社製のアップグレード・アイテムへ交換可能。フロントタイヤの方が減りは遅いが、経年での硬化には注意したい。

モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)
モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

シリーズ1には、マグネシウム製のセンターロック・ホイールが組まれていた。割れやすく、貴重なアイテムとなっている。入手できず、後期型の5ボルトハブへ交換されることも。サイドマフラーは、シリーズ2以降からオプションで設定された。

今回ご登場願った1台はシリーズ1。寄り目のフロントマスクは賛否両論あったが、クラシックカーとなった今では個性の1つとして馴染んだ様子。見る人を笑顔にしてくれる。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

前後のライト周辺、ボディパネルのエッジ部分、サイドのランニングボードなどが腐食しやすい。ソフトトップは経年劣化する。破れや雨漏りがないか観察したい。

エンジン

BMW由来のV8エンジンは、前部へみっちり収まる。整備時はボンネットだけでなく、フロントフェンダーやラジエターカウルを外す必要がある。エンジン自体は信頼性と耐久性に優れるが、モーガンが改良を加えた潤滑系や電気系統の不調には注意したい。

モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)
モーガン・エアロ8(2000〜2019年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

オイルパンやオイルフィルター・ハウジングの損傷を観察したい。樹脂製のタイミングチェーン・ガイドは割れがち。始動時のガラガラ音や、警告灯の点灯を確かめる。

可変バルブタイミング機構「ヴァノス」が不調になると、異音や出力低下を招く。オイル漏れや冷却水漏れ、ガソリン漏れにも要注意。

ブレーキとステアリング、サスペンション

リア・サスペンションは、マウントが破損しがち。ハブベアリングは劣化しやすい。パワーステアリングは、フルード漏れすることがある。ブレーキキャリパーの固着や、サイドブレーキの調子も確かめたい。

インテリアと電気系統

エアコンやパワーウインドウ、パワーシート、熱線入りガラスが正常に機能するか確かめる。警告灯の状態もチェックポイント。

シート表面の摩耗や、ステッチのほつれは想定できる。車内の不自然な湿りに要注意。ダッシュボードのエンジンターン模様は、プリント。一部の部品は入手が難しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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