究極形は赤いTME 三菱ランサー・エボリューション VI(1) グループA直系ハードを再確認
公開 : 2025.12.03 18:05
グループAマシンへ極めて近かったランエボ VI 物理へ反するように曲るシャシー技術 中毒症状を生む爆発的ダッシュ力 実用性も悪くない ラリー・ホモロゲの傑作をUK編集部が振り返る
グループAマシンへ極めて近いメカニズム
終売から四半世紀が過ぎた、三菱ランサー・エボリューション VI。Xまで25年間の進化を重ねたランエボだが、歴代の最高傑作と評価されているのが、この6代目となる。
世界ラリー選手権での圧倒的な活躍だけでなく、揺るぎないパフォーマンスを現実的な公道で引き出せることが、高評の理由といえる。ラリー・ホモロゲーションらしい精悍な容姿も、羨望の眼差しを集める理由だろう。

サーキットで暴れた当時のツーリングカーも、市販モデルへ近いボディをまとっていたが、メカニズム的な共通性は高くなかった。だがランエボ VIは、スペシャルステージを駆け回ったグループAマシンへ極めて近かった。
先進的な四輪駆動システムに2.0L 4気筒ターボエンジン、アクティブ・ヨーコントロール(AYC)という軸になる技術は、しっかり市販車にも搭載されていた。ドライバーのトミ・マキネン氏が1999年に体験した速さを、実際に味わうことが可能といえる。
物理の法則へ反するように曲る
ビスカスカップリング・センターデフを介する四輪駆動システムは、通常は前後50:50にトルクを分配。路面状況に応じて、割合は自在に変化した。
さらに、この四輪駆動システムはセンサーで制御されるAYCと連動。ステアリングとアクセル、ブレーキの状態が判断され、前後のディファレンシャルを制御し、ニュートラルなコーナリングを実現している。

ランエボ VIへ試乗した当時のAUTOCARは、物理の法則へ反するように曲がり、フロアが路面へ吸い付くような挙動は戦闘機のようだ、と驚きを表現している。この能力を3万ポンドほどで手中に収める事ができたことも、型破りといえた。
最高出力は280psで、0-100km/h加速は4.4秒。四輪駆動の揺るぎないトラクションを活かせば、同時期のフェラーリ550マラネロに後塵を浴びせることも不可能ではない。
ランエボ VIの究極形といえるTME
ランエボ VIの究極形といえるのが、トミ・マキネン・エディション (TME) 。世界ラリー選手権で4度のタイトルを勝ち取った彼へちなんだ、特別仕様だ。英国へ正規導入されたのは250台。走行距離が短く、ストライプで飾られた例は極めて珍しい。
チタン製ターボに新開発の排気系、専用フロントバンパーやヘッドライト、クイックなステアリング、ターマック重視のサスペンションなどが、通常のVIとは異なる部分。足元は、17インチのエンケイ社製アルミホイールが飾った。

TME仕様で、象徴といえたボディーカラーは鮮やかなレッド。また4ドアサルーンとして、快適性を犠牲にしていない点も強み。エアコンとパワーウインドウが備わり、後席や荷室も潰されていない。










































































































