2CV復活? シトロエン、12月に新方針発表 デザインやラインナップはどう変わる

公開 : 2025.10.12 06:45

シトロエンは12月、ブランドの新しい方向性とデザインを発表する予定です。新CEOは、不明確との指摘もあるブランド戦略を刷新し、2CVのスピリットを受け継ぐ小型低価格EVの開発を示唆しています。

2CVの精神受け継ぐ小型EV開発も

シトロエンは、12月にパリで開催されるイベントで、将来のデザインとブランドの方向性を発表する予定だ。

6月にシトロエンの新CEOに就任したグザビエ・シャルドン氏は、ブランドの明確さが欠けているという指摘を認めつつも、依然として革新は可能だと主張している。

新CEOに就任したグザビエ・シャルドン氏は、ブランドの刷新を掲げている。
新CEOに就任したグザビエ・シャルドン氏は、ブランドの刷新を掲げている。

12月のイベントとは別に、シャルドン氏はかつての2CVの精神を受け継ぐ新型車の開発を推し進めている。同氏は2CVを「フランス文化の一部」と表現し、このモデルの歴史や、購買力の限られた人々への自動車普及という本来の目的について深く理解していると語った。

さらに「2025年、2026年に向けてこの使命を遂行するのがわたしの責務です。モビリティを手頃な価格に戻すことは極めて重要です」と力を込めた。2CVの「DNAと精神」を「シトロエンの将来のクルマに取り入れたい」という。

シャルドン氏はこのモデルの詳細や発売時期について明言を避けたが、重要なのは2CVのレトロな雰囲気を再現することではなく、開発理念とアプローチだとした。2CVの形状は機能的な理由から生まれたもので、現代では通用しない可能性がある。

「(2CVは)個人の移動と自由を実現した初めての経験でした。これこそ、2026年から2030年にかけて、わたし達が再発明すべき自由なのです」と同氏は語った。

12月のイベントでこれらのテーマが取り上げられるかとの質問に対し、シャルドン氏は「一部はそうです。すべてではないかもしれません」と答えた。

2CVに着想を得た新型車が今年中に登場することはないだろう。

シャルドン氏はシトロエンのラインナップで今後、いくつのモデルを展開するかは明言しなかった。テスラがたった2車種で成功できたことを例に挙げ、「適切な形状、適切な答え」を持ち、「人々に明確に伝わる」ことが重要だと述べた。ただし、主力モデルは従来通りBセグメントとCセグメントにとどめる。

シトロエンC3とプラットフォームを共有する新型フィアット・グランデパンダの個性やアプローチについて問われると、シャルドン氏は目的もアプローチも異なっていると答えた。フィアットは「おそらくDNAとの結びつきが強い」一方、シトロエンは空間と快適性に重点を置いているという。

シトロエンが「真のイノベーター」であることを示すモデルとして強調されたのが、小型四輪EVのアミだ。

欧州委員会が先月提案した『Eカー(E-car)』と呼ばれる新たな小型低価格車カテゴリーの導入は、シトロエンにとって「大きなチャンス」だという。

シャルドン氏はEカーについて、「欧州にとってクルマを民主化する機会です」と述べた。「コロナ禍の前後を比べると、世界で唯一回復していない地域は欧州です」

「わたし達は200万台を失いました。そのうち約100万台は1万5000ユーロ(約270万円)以下のモデルであり、これは多くの規制やCO2削減の圧力によるものです。規制自体は良いことですが、新車を購入できず中古車を買い続けるか、あるいは1台を長く乗り続けている人々とのつながりが必要だと強く信じています」

「クルマの平均保有年数は上昇し、CO2排出量もわたし達の予想通りに減少していません。だからこそ、このEVは極めて優れた提案となるのです」

「わたし達は、日本の軽自動車に近い存在、つまり手頃な価格で電動式、かつ欧州製というコンセプトが理にかなっていると考えます。そして、それはシトロエンにとっても非常に理にかなっているのです」

「そのようなクルマは当社の歴史に刻まれています。C1がその好例です」

「こうしたクルマを再び生産できるようになることを心から願っています。そこは間違いなくシトロエンの分野です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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