中毒生むターボパワー 三菱ランサー・エボリューション VI(2) UK編も絶賛のホモロゲマシン
公開 : 2025.12.03 18:10
グループAマシンへ極めて近かったランエボ VI 物理へ反するように曲るシャシー技術 中毒症状を生む爆発的ダッシュ力 実用性も悪くない ラリー・ホモロゲの傑作をUK編集部が振り返る
中毒症状を生む爆発的なダッシュ力
三菱ランサー・エボリューション VIのパフォーマンスは、初体験の人には信じがたい水準にある。同時に、その扱いやすさも特長といえる。
乾燥したサーキットの直線なら、TVRサーブラウの方が速いかもしれない。しかし、現実的な環境では、ランエボ VIの圧勝だろう。これは、有能な四輪駆動が生むトラクションだけでなく、巨大なトルクが放出される回転域の広さも貢献している。

4速に入れて、1500rpmで巡航した状態からアクセルを蹴飛ばしても、しばらくはユルユル加速するだけ。だが、2700rpmを超えた辺りでブースト圧が高まり、吸気音が耳へ届きだす。その直後、爆発的なダッシュが始まる。
怯まずに右足へ力を込め続ければ、7700rpmのレブリミットまで、驚くほど滑らかに速度上昇が続く。気付けば、ほんの数秒で200km/h近い速度に達している。最初は圧倒されるが、何度も繰り返したいと思う中毒症状が出ること請け合いだ。
同時期のスーパーカーへ劣らない速さ
トラクションは凄まじい。濡れた路面でフルスロットルを与えても、4本のタイヤを活用し、しっかりパワーが展開される。5速MTの変速フィールも素晴らしい。
同時期のスーパーカーと比べても、ランエボ VIの速さは劣らない。0-161km/h加速ですら、11.2秒でこなしてしまう。最高速度は241km/hと驚くほどではないが、高速道路の追い越し加速で劣らないのは、フェラーリ550マラネロ級のモデルになる。

高度なシャシー技術を活かした、コーナリングも印象的。路面へ喰らいつき、カーブの先へ吸い込まれるように突き進む走りは、物理の法則を覆す勢い。ヘアピンからの脱出は、感動すら誘う。アスファルトが蹴り上げられ、剥がれるのでは、と錯覚するほど。
切り始めの反応がやや過敏なステアリングは、アンダーステアやオーバーステアとは無縁。手首を必要なだけ動かせば、フロントノーズは望み通り向きを変える。操縦性は極めて滑らかで、速度域は高く、精神的な挑戦が求められる。
ステアリングの感触は薄め 燃費は悪くない
ただし、ステアリングホイールへ伝わる感触は、ランエボ Vより優れるものの、理想的というわけではない。高速域では、どの程度グリップに余力があるのか、正確に把握するのが難しい場面はある。鋭い反応で、常に気持ちは鼓舞され続けるが。
乗り心地は、市街地では確かに硬め。17インチ・タイヤは、低速域では路面の凹凸をしっかり伝え、ノイズも小さくない。しかし、速度域が上昇すると落ち着きが増す。

同程度の動的能力を秘めたスーパーカーなら、燃費は期待できないはず。しかし2.0L 4気筒エンジンを積むランエボ VIなら、さほど心配しなくて良い。トルクが太く、アクセルペダルを踏み込む必要性も低い。
サーキットを含めて、1200kmほど走らせた試乗での平均燃費は、8.1km/L。高速道路の巡航は、10.6km/Lに届いた。空力特性は、Cd値が0.36と優れないにも関わらず。










































































































