タフな人気SUV販路拡大 フォード、欧州向け新型『ブロンコ』投入へ ただし「本家」とは別物に

公開 : 2025.12.04 07:25

フォードは欧州市場向けにPHEVの中型クロスオーバーを投入する計画です。米国で人気を博している『ブロンコ』のスピリットを継承し、『フォーカス』の間接的後継車としてスペインで生産される見込みです。

フォーカスの間接的後継車?

フォードは、米国向けに販売している大型SUV『ブロンコ』をモチーフにした、新型クロスオーバーを欧州で発売する計画だ。AUTOCARの取材で明らかになった。

また、欧州の自動車専門誌『オートモーティブ・ニュース・ヨーロッパ(Automotive News Europe)』は、このクロスオーバーが『クーガ』と共にスペインのバレンシアで生産されると報じている。

モノコックボディの『ブロンコ・スポーツ』は都市型の志向が強い。
モノコックボディの『ブロンコ・スポーツ』は都市型の志向が強い。

クーガは、ハッチバックの『フォーカス』とプラットフォームを共有するCセグメントのクロスオーバーだ。

フォードのスペイン工場では、先月フォーカスの生産を終了したばかり。その間接的な後継車として、2027年頃から新型クロスオーバーを生産することになる。

このモデルは、新たに欧州部門責任者に就任したジム・バウムビック氏の指揮下で投入する初の新型車となる可能性がある。欧州部門は「欧州の顧客に適した製品開発と、より迅速かつ効率的な展開」を目指すとしている。

新型クロスオーバーは、クーガと同じC2プラットフォームを採用し、プラグインハイブリッド車(PHEV)となる見込みだ。欧州市場におけるEV需要が予想を下回っているため、フォードは内燃機関搭載車の販売を継続する方針だ。現時点ではEV仕様の計画はないようだ。

ただし、スポーティなクーガとは大きく異なるキャラクターとなり、米国向けのブロンコから強い影響を受けたタフな独自デザインを採用するだろう。

欧州市場シェア回復を急ぐ

フォードは欧州市場向けモデルの設計において、自社のアメリカンなルーツを強調することで競合他社との差別化を図っている。その代表例が電動SUV『エクスプローラー』で、同名の米国向けモデルと同様の角張った直線的なシルエットを特徴とする。

したがって、新型クロスオーバーは、クーガよりも伝統的な「2ボックス」SUVとなる可能性が高い。直立したプロポーションと、現行ブロンコのオフロード性能の高さを表現したタフなデザインを採用するだろう。車名には『ブロンコ』が含まれると予想される。

中核となる『ブロンコ』はラダーフレームシャシーを採用した本格クロカンだ。
中核となる『ブロンコ』はラダーフレームシャシーを採用した本格クロカンだ。

フォードはすでに米国向けの中型SUV『ブロンコ・スポーツ』を販売しており、中国ではEVモデル『ブロンコ・ニューエナジー』を展開している。象徴的なオフローダーのスピリットを継承した、普及向けのクロスオーバーとして販売拡大を図っているのだ。

トヨタメルセデス・ベンツジャガーランドローバーも同様の手法を採っている。いずれも今後2年間で、ランドクルーザーGクラスディフェンダーの小型版をそれぞれ投入する予定だ。

新型ブロンコは、欧州市場で大きく低下したシェアを回復するため、プレミアム志向ではなく多くの人にとって親しみやすいベーシックな仕様となるだろう。内燃機関搭載のCセグメントSUVを追加することで、『カプリ』やエクスプローラーといったEVの不振を補うことができる。これら2車種は予想を大きく下回る販売ペースで、生産拠点であるドイツ・ケルン工場では大規模な人員削減を余儀なくされた。

セグメントと価格帯を考慮すると、フォルクスワーゲンティグアンキア・スポーテージ、ヒョンデ・ツーソンなど、欧州でヒットしている人気モデルと対峙することになりそうだ。その他にも、ジープ・コンパススコダ・コディアックなど、手強い競争相手が数多く存在する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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