ここ数年で1番の運転する喜び モーガン・スーパー3へ試乗 スリーホイラーの後継 前編

公開 : 2022.07.02 08:25

英国伝統のモーガンから、最新の3輪スポーツが登場。運転する喜びの豊かさを、英国編集部は高く評価します。

スリーホイラーの後継に当たる大胆なモデル

長い伝統を持つ英国のモーガンから、最新の3輪モデルが誕生した。写真をご覧いただきたい。メカ好きでなくても、思わずそのディティールには惹き込まれてしまうはず。

これは、モーガンですらその成功に驚いたという、10年前のスリーホイラーの後継に当たる。ソフトトップすらない3輪モデルはニッチな存在だと、同社も認識はしていた。ところが英国中部、マルバーンの工場からは2500台以上がラインオフするに至った。

モーガン・スーパー3(英国仕様)
モーガン・スーパー3(英国仕様)

スリーホイラーのオーナの楽しみ方は、大まかに2つに分類されるとモーガンは分析している。一般的なものが、晴れた休日の午後に郊外での気軽なドライブを楽しむ人。もう1つが、アドベンチャーバイクのように、冒険的な長い旅へ出る人だという。

どちらの場合も英国では、必要な装備をスリーホイラーに載せ、防水性のあるアウターで全身を包むというスタイルが多いだろう。目指す地平の彼方が、近いか遠いかという差はあれど。

新しいスーパー3は、そんな従来のユーザーにもピタリと当てはまる。伝統的な自動車愛好家のようなドライバーに対する訴求力は、しっかり受け継がれている。

1910年創業という長い歴史を持つモーガンは、新しい挑戦から距離をおいていた時期もあった。しかし近年は違う。想像力豊かな技術者たちが才能を発揮し、より尖った、大胆なモデルを創造するようになった。その姿勢を、スーパー3は体現している。

優れたアドベンチャーバイクのよう

最新モデルとして、内容は素晴らしい。アルミニウム製ボディの内側には、木製のフレームは存在しない。モノコック構造を採用し、1つの部品が担う機能を複数与えることで、可能な限りシンプルに作られている。

スーパー3のルックスは、とても華やかだ。堅実的なトライクとしてではなく、優れたアドベンチャーバイクのようにデザインされている。112年の歴史を持つモーガンにして初めて特許を取得したという、知的なクリップも備わっている。

モーガン・スーパー3(英国仕様)
モーガン・スーパー3(英国仕様)

フロントの中心に据えられた、大きなブロック状の黒いアルミニウム製部品は象徴的。複雑な造形が鋳造されており、エンジンマウントとプルロッド式のサスペンションマウントを兼ね、ヘッドライトとノーズカウル、ボディパネルを固定する機能も併せ持つ。

機関車に用いられる部品のように無骨でありながら、形としては繊細で、金属質で、メカとして眺めているだけで楽しい。ラジエーターへ空気をきれいに流すよう、スリットが彫られているというコダワリようだ。

そのアルミ製のブロックには、大きなパネルが取り付けられている。ラジエターへ空気を導くのと同時に、ボディ横に装備するラゲッジケースなどの固定ポイントにもなっている。モーガンは、贅沢なアクセサリー類も重要な収益源になると理解している。

タイヤの切れ角が大きく取れるよう、ボディはスリム。先代のスリーホイラーは、あまり小回りが効かなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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