トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(1) 3車3様の小柄クーペたち

公開 : 2025.10.25 17:45

1クラス上の車内 少し拍子抜けな走り

車内も同様。クリームとブラウンのツートーンでコーディネートされ、雰囲気は1クラス上にある。運転席へ座ると、3スポークのステアリングホイールがオシャレ。クラクションのボタンは2つあり、市街地と郊外用で音量が異なる。

スピードとタコ・メーターの他に、補機メーターもズラリ。背が高いトランスミッション・トンネルから手元へシフトレバーが伸び、いかにもスポーティな配置だ。

トヨタ・セリカ 1600 ST(1970〜1977年/英国仕様)
トヨタ・セリカ 1600 ST(1970〜1977年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ところが発進すると、やや拍子抜け。ステアリングは遊びが多く曖昧で、フロントタイヤの状態を把握しにくい。グリップ力も高くはない。エンジンは6500rpmまで積極的に回り、シフトレバーは滑らかに倒せるけれど。

アメリカンなクルーザーとして走らせるのが、初代セリカの正解。自然な姿勢で座れ、エンジンサウンドは軽快。速くはないが、運転は楽しい。クラッチペダルは軽く踏め、操縦系の配置も望ましい。半世紀も前のクルマだとは、感じにくい。

ジェットエンジン時代へ同調したカプリ MkII

1974年に登場した、カプリ MkIIの完成度も高かった。スタイリングはエキゾチックで、ジェットエンジン時代へ完全に同調していた。同時にメカニズムは先代譲りで、生産コストを抑えつつ、整備性の良さを叶えていた。

サスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろはリーフスプリングのリジットアクスルと、旧来的な構成。それでも、長方形のヘッドライトと短いボンネットで、新鮮味が醸し出されていた。大きなテールゲートは、実用性を担保した。

フォード・カプリ MkII 2.0S(1974〜1978年/英国仕様)
フォード・カプリ MkII 2.0S(1974〜1978年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

インテリアでは、ダッシュボードを刷新。ステアリングは小径になり、メーター類も充実した。エンジンは、2.0L 4気筒の「ピント」ユニットを獲得。SOHCで99psを発揮し、0-97km/h加速は10.4秒とセリカを凌駕。最高速度は170km/hだった。

この続きは、トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

トヨタ・セリカ フォード・カプリ ヴォグゾール・フィレンザの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事