【草の根の安全対策】本田技術研究所と芳賀町、EV公用車を休日にカーシェア提供する実証実験開始 CI運転システムの可能性

公開 : 2025.11.06 07:25

もっとも多い歩行者が亡くなる原因は漫然運転と脇見運転

運用開始に先駆けて行われた取材会では、プレゼンテーションのあと、町役場の駐車場を使って体験試乗会が行われた。僕はその後、町内の一般道を走る機会にも恵まれた。

といっても普通に運転している限り、歩行者を感知するとその方向のインジケーターが黄色に光るものの、赤色にはならない。

研究所周辺で実験走行中の様子。
研究所周辺で実験走行中の様子。    森口将之

助手席に乗っていた開発スタッフが、それだけ運転中の視線移動をしっかりしている証拠だと教えてくれた。

運転を代わって、今度は助手席から状況をチェックしても、たまに黄色が点灯するだけと思ったら、横断歩行者が目の前を通過した直後に、インジケーターが赤く光った。

歩行者は安全に通り過ぎたあとなので不思議に感じたが、視線を元に戻すのが早すぎたためだと解説してくれた。たしかに渡り終えようとした歩行者が引き返すこともあるので、納得の判断だ。

開発を主導した、本田技術研究所先進技術研究所知能化・安全研究領域統括兼半導体研究領域統括の安井裕司氏は、交通事故で歩行者が亡くなる原因は漫然運転と脇見運転が各35%でもっとも多いことを挙げた。

しかし人がクルマを運転するシーンはしばらく続くことから、CI運転支援システムが必要だと考えたとのこと。このシステムでは走行データ収集も行っており、その結果は芳賀町を通じて、道路安全の強化に役立てていくそうだ。

ホンダと言えば、現行アコードに高度な先進運転支援システム『ホンダセンシング360+』を装備しており、高速道路でのハンズオフなどを実現している。

ただし安井氏は、このシステムはコストを考えると、アコードなどの上級車用とのこと。それに対して、CI運転支援システムは、価格は未定ではあるものの、安いクルマにも取り付けることができるだろうと語っていた。声が多ければ市販も考えていくそうだ。

こうした草の根的な安全対策が、ホンダが目指す2050年のカーボンニュートラル+事故死者ゼロに結びついていくのではないかと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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