【ミゼットの時代から続く挑戦】大阪・関西万博でも実証を行ったスモールモビリティ!ダイハツ『eスニーカー』発売開始
公開 : 2025.09.03 17:25
ダイハツが『新たな歩行領域モビリティ』と呼ぶ『eスニーカー』を発売開始しました。ダイハツはミゼットやハローの時代から、さまざまな提案を行ってきた挑戦の歴史があります。モビリティジャーナリスト森口将之の試乗レポートです。
かつては三輪トラックのメジャープレーヤー
ダイハツというと、現在は軽自動車のメーカーというイメージが強い。しかしかつては三輪トラックのメジャープレーヤーであり、軽三輪の『ミゼット』は映画にたびたび登場しているので、知っている人もいるだろう。
それ以外にもダイハツは、さまざまなスモールモビリティを提案してきた。個人的に記憶に残っているのは、1970年代に販売されていた原付三輪の『ハロー』で、知り合いの自動車修理工場が持っていたので乗せてもらったことがある。

英国人ジョージ・ウォリスが設計した三輪バイク『BSAアリエル3』が、BSAの倒産に伴い生産終了となったことを受けて、ウォリスと契約して開発したもので、驚くことにエンジンのほかモーターで走る電動仕様もあった。
高価だったうえにバイクショップで売らなかった不利もあって、ハローの販売は振るわず、まもなく生産中止になった。ウォリスはホンダにライセンスを譲渡し、それが現在のジャイロ・シリーズに発展するのだが、その後もダイハツは軽自動車より小さな乗り物の開発を続けた。
1990年代に四輪となって復活した『ミゼットII』もそのひとつだが、2011年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー『PICO』も意欲的な1台で、当時議論されていた超小型モビリティのカテゴリーに収まりそうな、ふたり乗りの電動車両だった。
当時ダイハツでは、電動車いすと軽自動車の間のカテゴリーが創設されるという期待を込めていたようだが、実際の超小型モビリティは軽自動車をベースとする規格になったこともあり、その後の開発は中断された。
数々の挑戦から導かれた製品
8月25日に発売された『e-SNEAKER (イースニーカー)』は、一般的には電動車いすと呼ばれる、歩行領域の乗り物としては後発だが、スモールモビリティの経験は豊富であり、数々の挑戦から導かれた製品と言える。
ダイハツがこのカテゴリーへの参入を考えたのは、2019年の東京池袋での高齢ドライバー暴走事故以降、運転免許の返納者数が一定レベルで推移しているうえに、受け皿となるべき公共交通は運転手不足もあって、とりわけ地方では減便や路線廃止が続いていることが理由だった。

電動車いすは、ジョイスティック型とハンドル型の2種類に大別できる。ダイハツが参入したハンドル型のトップシェアは、軽自動車でもライバル関係にあるスズキのセニアカーだ。
さらに近年は、スタイリッシュな電動車いすを次々にリリースしてきたWHILLもハンドル型を送り出し、トヨタ自動車も三輪タイプで参入した。一方ヤマハ発動機は、後付けの電動化ユニットで定評がある。
そんななかでe-SNEAKERが特筆されるのは、発売前に大阪・関西万博で、障害物検知機能や接触停止機能などを備えた専用車両を150台提供し、猛暑や人ごみといった過酷な状況で実証を重ねたことだ。
僕は万博会場で車両を見たことはあるが、乗るのは今回が初めて。目線の高さと大径タイヤ、二輪車と同じグリップを捻る形のアクセルが印象的だった。
シートの高さは3段階に調節可能で、試乗車はもっとも上にセットしてあった。700mmというのは、この種の乗り物としては高めで、自転車やモーターサイクルのように、やや前傾の姿勢になる。
ダイハツによれば、スタイリッシュな乗車姿勢にこだわるとともに、歩く人と目線が近くなるようにしたそうだ。現役ライダーの僕も、このぐらいの高さが良いと思った。


































