昇天級のレッドライン マクラーレン570 S UK中古車ガイド 価格以上のV8スーパーカー

公開 : 2025.10.06 19:05

3.8L V8ツインターボが570psを発揮した570 S 今も見劣りしない性能 昇天級のレッドライン レーザーのように高精度な旋回 快適性を高めたGTも UK編集部が中古車で魅力を再確認

今も見劣りしない性能 昇天級のレッドライン

美しいV8エンジンのスーパーカーが、6気筒の最新スポーツカーへ並ぶ値段で買えるなら? 新車価格の高騰が続く中、英国では7万ポンド(約1386万円)も出さずに、中古のマクラーレンを我が物にすることができる。

同社のスポーツシリーズへ属した570 Sは、650 Sや675 LTの下位モデルとして2015年に登場。3.8LのV8ツインターボは570psと61.1kg-mを発揮し、0-100km/h加速3.1秒という動力性能は、今でも見劣りしない内容だろう。

マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)
マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)

エンジンは2気筒少ないが、アウディR8より40馬力も強力で、最高速度は320km/hオーバー。0-400mのドラッグレースは、650 Sと横並びの11.0秒で処理する。レッドラインは8000rpmと昇天級。7速デュアルクラッチATのシャープさも素晴らしい。

カーボンファイバー製タブシャシーは軽く、車重は1440kg。磨かれた操縦性は、美しいと表現したくなるもの。ただし、イタリアン・エキゾチックほど音響体験は優れない。社外マフラーで美声へ変えることもできるが、保証が効かなくなる可能性はある。

レーザーのように高精度なステアリング

650 Sが属した上級のスーパーシリーズと異なり、サスペンションは一般的なアダプティブダンパーとアンチロールバー、コイルスプリングという組み合わせ。それでもAUTOCARでは、極めて高いグリップと過激すぎない鋭敏な操縦性をベタ褒めした。

ステアリングは適度に重く、反応はレーザーのように高精度。安定性は揺るぎなく、挙動は極めて予想しやすい。路面の凹凸は巧みに処理され、よほど酷い隆起部分でない限り、落ち着いた乗り心地のまま高速移動が可能だ。

マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)
マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)

2017年には、570 GTが登場。サイドヒンジのガラス製リアハッチを開くと、220Lの荷室へアクセスできる。しなやかなサスペンションで、一層の快適性も実現していた。その中間に位置する、570 GTスポーツパックも悩ましい1択といえる。

英国の中古車市場の限り、走行距離はまちまち。一般的に、前オーナーは定期的なメンテナンスを怠らず、部品代もケチらなかったはず。状態の確認は必須だが、英国生まれの美しい野獣とともに、短い人生の一時期を暮らしてみるのはいかがだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は?

動力性能はケタ違い。操縦性の妥協もない。サーキット走行へ応える能力と、一般道での安定性や操縦性を両立している。フィードバックも素晴らしい。上質な内装に、使える液晶モニターと荷室、悪くない燃費など、実用性の競争力も高い。(2016年3月3日)

マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)
マクラーレン570 S(2016〜2021年/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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