明日の評価は違うかも アルトゥーラ/ヴァンテージ/ローマ(2) 敏腕ロードスター3台比較
公開 : 2025.08.29 19:10
麗しい美貌のローマ 圧倒的存在感のアルトゥーラ 心震わせる響きのヴァンテージ 高域へ引っ張りたくなるツインターボエンジン 最高峰の体験を享受できる敏腕ロードスターをUK編集部が比較
もくじ
ー高域へ引っ張りたくなるV8ツインターボ
ーアスファルトへ見事に調和する優しいサス
ー乗り手へ相応の本気度が求められる
ー怯むほど高い限界領域 順位を付けるなら?
ーアルトゥーラ/ヴァンテージ/ローマ 3台のスペック
高域へ引っ張りたくなるV8ツインターボ
電気だけで最長33km走れる、マクラーレン・アルトゥーラの秘技は注目に値する。静寂に包まれた早朝の住宅地や大自然の中を、ほぼ無音で駆け抜けられる。それでいて、V6ツインターボエンジンが目覚めれば、不足なく甘美な音色を響かせる。
8000rpmまで意欲的に回り、調律の取れた咆哮を放つ。95psの駆動用モーターが低域でのトルクを補完し、他のマクラーレンとは一線を画す、即時的な速度上昇を叶えてもいる。回転数やギアは問わない。正真正銘のスーパーカーだ。

フェラーリ・ローマの最高出力は620psで、今回の3台では1番小さいが、0-100km/h加速は3.4秒で不足なし。アストン マーティン・ヴァンテージを僅かに凌駕するほど。これで物足りないなら、感覚が麻痺しているだけだろう。
サウンドは、精緻な4気筒ユニットを2基並べた響きと遠からずでも、聴き応えは充分。レスポンスは自然吸気へ近く、つい高域へ引っ張りたくなる。
アスファルトへ見事に調和する優しいサス
連続するカーブでの没入感は、ローマが2台の後塵を拝する。フェラーリも主張するとおり、スパイダーはクーペ以上にグランドツアラー寄りにあるからだ。ソフトトップ化でボディ剛性は約3割低下し、アダプティブダンパーも緩められている。
それでも、その優しいサスペンションが、傷んだグレートブリテン島のアスファルトへ見事に調和する。強い入力でボディが震えることも稀にあるが、高速道路を平穏に過ごせる。マラネロの技術者が、この土地でも入念な開発テストを実施したかのように。

コーナリングの身軽さは、ふたまわり小さいマツダMX-5(ロードスター)のよう。誤解しないで欲しいが、これは賛辞だ。限界の接近を実感できるから、自然なシャシーバランスへ自信を持って迫れる。
クイックなステアリングは過敏ではなく、正確なライン取りが可能。V8ツインターボが漸進的に生成するパワーで、旋回時のスタンスを任意に選べる。路面へ息を合わせるような、姿勢制御とともに。
乗り手へ相応の本気度が求められる
ヴァンテージへ乗り換えると、その違いは瞭然。カーブの出口でオーバーステア気味なのは、FRのアストン マーティンらしい。ステアリングホイールへ伝わるフィードバックはローマに届かず、より積極的な操縦も求められるが、フロントノーズの反応は鋭い。
速度が高すぎなければ、敏捷な走りで魅了される。スポーツ・モード時の硬めのダンパーが、その印象を更に強める。トラック・モードにすると、クーペに劣るボディシェルの剛性を実感させる。ラグジュアリーな内装が、時折きしむ。

丘陵地帯を好戦的に飛ばすと、質量の大きさを感じ始める。ブレーキングでは、大きな慣性を隠さない。カーブ途中の隆起部分では、サスペンションが処理しきれず、ヒヤッとすることも。それをきっかけに、テールスライドへ転じることも。
刺激的な運転体験であることは間違いない。しかし、乗り手へ相応の本気度が求められることも間違いない。




















































































































































