ロードスターの季節到来 アルトゥーラ/ヴァンテージ/ローマ(1) 美しき最高峰トリオ

公開 : 2025.08.29 19:05

麗しい美貌のローマ 圧倒的存在感のアルトゥーラ 心震わせる響きのヴァンテージ 高域へ引っ張りたくなるツインターボエンジン 最高峰の体験を享受できる敏腕ロードスターをUK編集部が比較

最高峰の運転体験を享受できる3台

気温は30度を下回った。青空には白い雲。貯水池を望む絶景が広がる、丘陵地帯の入り口にいる。後ろでは、冷えていく金属がチンチンと鳴っている。風鈴のように。

ルーフを開けば、600馬力超えのパワーが髪をなびかせる。シャワーの後に乗れば超高価なヘアドライヤーにもなるが、この環境へ飛び込めば、最高峰の運転体験を享受できるであろう3台を今回は並べてみた。

手前からアストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスターと、マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー、フェラーリ・ローマ・スパイダー
手前からアストン マーティンヴァンテージロードスターと、マクラーレンアルトゥーラ・スパイダーフェラーリローマ・スパイダー    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1台目は、最新のアストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスター。上り調子にある伝統ブランドの、最新オープンだ。ソフトトップ化で60kg重くなり、車重は1805kgある。リアダンパーを除けば、クーペとハードは殆ど変わらない。

フロントに載るのは、メルセデスAMG由来の4.0L V8ツインターボで、最高出力は665ps。トランスアクスル配置のZF社製8速ATを介して、後輪が駆動される。カンバストップは僅か6.8秒でリアデッキへ格納され、筋肉質な曲線美は乱れない。

麗しい美貌のローマ 存在感で勝るアルトゥーラ

麗しい美しさを放つのは、フェラーリ・ローマ・スパイダー。主張は控えめかもしれないが、魅力度では劣らない。クーペは既に生産終了が決まっているが、スパイダーはもうしばらく提供が続くらしい。

エンジンは3.9L V8ツインターボで、8速デュアルクラッチATが組まれる後輪駆動。断熱材を挟む5層構造のソフトトップは、ヴァンテージほど速くはない13.5秒で開閉する。

フェラーリ・ローマ・スパイダー(英国仕様)
フェラーリ・ローマ・スパイダー(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

存在感で2台を圧倒するのは、オレンジに塗られたマクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー。カーボンファイバー製タブシャシーの中央には、3.0L V6ツインターボが載り、プラグイン・ハイブリッドとして電気モーターとペアを組む。

こちらはフォールディング・ハードトップで、正式にはタルガトップと呼べる。クーペより62kg重いが、車重は1560kgに留めている。総合での最高出力は700psと、3台では最強。ローマは乾燥重量で1556kgだが、オイル類を満たせば1600kg程になるはず。

車重へ繋がる贅沢な内装 硬めの乗り心地

比較するとヴァンテージの重さが目立つが、贅沢なインテリアの影響だろう。風合いの良いレザーをはじめに、豪華な素材が惜しみなく投じられている。テイラーメイドのスーツをまとったような、特別な気持ちにさせてくれる。

かたやローマは、+2の4シーター。使い勝手では群を抜く。アルトゥーラの車内は、アルカンターラとカーボンで満たされ、上質ながらストイック。ベクトルが異なる。

アストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスター(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンテージ・ロードスター(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

真っ先に長いドアを開いたのは、ローマ。ダンパーが流暢に伸縮し、オープン状態でも車内は穏やか。3台では、最もリラックスしたクルージングへ浸れる。V8エンジンの響きが、穏やかな気持を刺激する。

ヴァンテージは、ドライブモードを変えてもアダプティブダンパーは硬く、グレートブリテン島の道では揺れが収まらない。アルトゥーラの方がしなやかで、ソフトに振れば速度上昇とともに落ち着きが出てくる。ロードノイズは大きいけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルトゥーラ/ヴァンテージ/ローマの前後関係

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