発見! ポルシェ秘蔵のコレクション(前編) 計画中止となった「幻」のプロトタイプ

公開 : 2026.01.01 11:25

ポルシェ597ヤークトヴァーゲン(1955年)

1955年、創設されたばかりの西ドイツ軍は自動車メーカーに対し、ウィリス・ジープを模した低コストで効率的な四輪駆動車を要求した。ポルシェはこれに応じ、同社初のオフロード車となる597を提案する。356由来の水平対向4気筒エンジンをリアに搭載する、機能性重視のシンプルな設計だった。

しかし、生産コストが高すぎた上、ポルシェは生産体制を迅速に整えられなかったため、政府の契約を獲得できなかった。代わりに、ライバルのDKWムンガが西ドイツ軍に正式採用された。

ポルシェ597ヤークトヴァーゲン(1955年)
ポルシェ597ヤークトヴァーゲン(1955年)

ポルシェ911Sタイプ915(1970年)

タイプ915は、911の車体に大人4人分のシートをどう配置するかを模索したモデルだ。ホイールベースを約30cm延長し、クーペでありながら4名が比較的快適に搭乗できる空間を確保している。しかし、ポルシェの経営陣は、他モデルと共食いになることを懸念し、量産化を見送った。

ポルシェ911Sタイプ915(1970年)
ポルシェ911Sタイプ915(1970年)

ポルシェ911カレラRSRターボ2.1(1974年)

ポルシェはターボチャージャー搭載911の優位性を示すため、ウィング付きワイドボディのカレラRSRターボ2.1を開発した。過給機により2.1L水平対向6気筒エンジンの出力は300psから460ps以上に跳ね上がった。1974年、ル・マン24時間レースのコース沿いには大勢のファンが詰めかけ、疾走するRSRが噴き出す炎を見物した。1台目はレース開始8時間でリタイアしたが、2台目は2位でフィニッシュした。

ポルシェ911カレラRSRターボ2.1(1974年)
ポルシェ911カレラRSRターボ2.1(1974年)

911の標準ブレーキでは、RSRのターボパワーには不十分だった。そのため、ドリルドローターと917風のフィン付きブレーキキャリパーを備えた専用ブレーキシステムが採用された。また、センターロック式ホイールと改良型サスペンションも備わっている。

ポルシェ911カレラRSRターボ2.1(1974年)
ポルシェ911カレラRSRターボ2.1(1974年)

ポルシェ924レコードカー(1976年)

ポルシェは、デビューしたばかりの924を宣伝するため「日曜日に勝てば月曜日に売れる」というキャッチフレーズに注目した。そして、イタリア・ナルドの高速オーバルコースで速度記録を樹立するための特別な1台を製作。253psのエンジンと空力ボディを備えていたが、結局のところ記録挑戦は実現しなかった。

ポルシェ924レコードカー(1976年)
ポルシェ924レコードカー(1976年)

ポルシェ935(1976年)

935は耐久レース向けに開発された911の進化形だ。ターボチャージャーと燃料噴射装置を備えた水平対向6気筒エンジンは700psを超える出力を安定して発揮できた。初期の935は標準の911と外観が似ているが、後期型では空力性能を高めるためにフロントバンパー一体型のヘッドライトを採用した。

ポルシェ935(1976年)
ポルシェ935(1976年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

発見! ポルシェ秘蔵のコレクションの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事