ポルシェ911の壁を越え、世界に伍するスーパースポーツへ R35GT-R全史を見届けた渡辺敏史が最終型に乗って思うこと(前編)

公開 : 2026.01.02 12:05

2025年8月で生産終了となったR35型日産GT-Rは、世界に伍するスーパースポーツとして、日本の誇るべき存在となりました。開発から18年に渡る全史を見届けた渡辺敏史が、最終型に乗って今、思うこととは。その前編です。

多くのスポーツモデルが転機を迎えた2025年

パワートレインの多様化というトレンドに加えて環境や保安にまつわる基準変更も重なり、2025年は多くのスポーツモデルが転機を迎えることになった。そんな中、8月に生産終了を迎えたのが『日産GT-R』だ。

2007年に登場したR35型GT-Rの販売継続にあたっては、2022年にも大きな決断を迫られている。それは日欧の車外騒音規制の段階的強化だ。それをもって日産は、2022年春に『2022年型GT-Rは注文台数が予定販売数量に達したため、オーダーを終了いたしました』というアナウンスを出している。

2025年に8月に生産終了を迎えた『日産GT-R』。
2025年に8月に生産終了を迎えた『日産GT-R』。    日産自動車

2022年9月から適用される新基準には適合できない、よってGT-Rは販売終了という噂が駆け巡ったのはちょうどこの頃だ。が、水面下では規制をクリアする新しいエキゾーストシステムと共に、エクステリアの変更も伴うマイナーチェンジの準備が整えられていた。

果たして、2024年型は数十億円に及ぶというエキゾーストシステムの開発投資や、部品価格上昇分を転嫁すべく車両価格は2022年型に対して400万円は上がったものの、待ちわびるファンはそれをものともせず、2025年型の1500台も枠は瞬殺で抽選販売という盛況となったわけだ。

現在の日産にGT-Rを赤字で販売する余興など許されないことは自明だが、2年のみの販売となったマイナーチェンジモデルは、会社にもしっかり利益をもたらしていることだろう。

立ちはだる別の規制

しかし、GT-Rの前に再び立ちはだかったのは別の規制だった。

日本国内での販売車両の衝突被害軽減ブレーキ搭載は既に新型車では義務化されているが、それが2025年12月には継続生産車にも拡大される。更に国際法規であるサイバーセキュリティや騒音規制の更なる強化など控える法規を鑑みれば、電子プラットフォームをまるっと刷新するその対策投資額はどう考えても元が取れない。

2002年8月に生産終了した、第2世代スカイラインGT-Rの最終モデルとなったR34型。
2002年8月に生産終了した、第2世代スカイラインGT-Rの最終モデルとなったR34型。    山田真人

思えば2002年8月、第2世代スカイラインGT-Rの最終モデルとなったR34型が生産を終了したのも排ガス規制強化が主因となった。古今東西、クルマの命運が法規に委ねられるのは常だ。ましてや世界中でマーチエクストレイルも売るOEMとして、別腹は許されない。

そういう定めであると知るほどに、GT-Rが約18年も販売を続けることが出来たこと自体がなおのこと奇跡的に思えてくる。比べる例えが極端かもしれないが、ご長寿スポーツカーといわれて思い浮かぶ、ビッグバンパーGシリーズのポルシェ911ランボルギーニカウンタックでもその車歴は16年だ。

ひとつの車台を改良しながらスポーツカーとして販売され続けた例としては、ジュリア系の車台をベースとした初代アルファロメオ・スパイダーくらいではないだろうか。しかし当時を知る身にそれは、パフォーマンスというよりもノスタルジーを満たす存在として受け入れられていたように思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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