RS3:5気筒ターボが魅力の核 A290:子犬な走りへ夢中 トップ10台で争う運転体験キング BBDC 2025(1)

公開 : 2025.12.30 18:05

1年に試乗した中で、運転体験の喜びが最高の1台を選ぶBBDC 公道とサーキットで徹底評価 フェラーリにマクラーレン、ポルシェ、アストン、ランボルギーニまで10台の混合戦 2025年の頂点は?

手抜き・忖度なしで運転体験を徹底評価

今年も、頂点を選ぶ時が来た。1年間に試乗した新たなモデルの中で、最も運転体験の喜びが大きい「ベスト・ドライバーズカー」を決める、ベスト・ドライバーズカー選手権「BBDC」が幕を開ける。

日々、様々なクルマを評価するAUTOCARだから、グレートブリテン島にあるサーキットは殆ど走り尽くしている。だが、元ラリードライバーのマルコム・ウィルソン氏が中西部のカンブリア州へ完成させた、「MSサーキット」を走るのは今回が初めて。

グレートブリテン島中西部、カンブリア州のMSサーキットに集ったBBDC 2025のノミネート車両
グレートブリテン島中西部、カンブリア州のMSサーキットに集ったBBDC 2025のノミネート車両

その場所へ、ドライバーズカーとして2025年のトップ10に選出したモデルと、2024年のBBDC勝者、マクラーレンアルトゥーラをわれわれは持ち込んだ。ただし、実施直前にモーガン・スーパースポーツが不調で辞退。10台での評価となった。

日程は2日間。初日は、カンブリア州の公道で試乗する。2日目は、コース長2.5kmのMSサーキットで限界領域へ迫る。2025年の運転体験キングを、5名の審査員による採点で決める。例によって雨がちだったが、評価に一切の手抜きや忖度はない。

BBDC 2025 10台のノミネート車両

BBDC 2025のノミネート車両は下記の通り。価格順にご紹介しよう。

ランボルギーニレヴエルト:45万2040ポンド(約9222万円)/1015ps
フェラーリ12チリンドリ:33万6500ポンド(約6865万円)/830ps
アストン マーティンヴァンキッシュ:33万ポンド(約6732万円)/835ps
マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー:22万1500ポンド(約4519万円)/700ps
ポルシェタイカン・ターボ GT:18万9200ポンド(約3860万円)/1109ps
ポルシェ911 GT3 ツーリング:15万8200ポンド(約3227万円)/510ps
メルセデスAMG GT 43:10万5430ポンド(約2151万円)/421ps
BMW M2 CS:9万2475ポンド(約1886万円)/530ps
アウディRS3 スポーツバック:6万2120ポンド(約1267万円)/399ps
アルピーヌA290 GTS:3万6000ポンド(約734万円)/220ps

BBDC 2025 審査の様子 左から審査員のジェームス・ディスデイル、マット・プライヤー、イリヤ・バプラート
BBDC 2025 審査の様子 左から審査員のジェームス・ディスデイル、マット・プライヤー、イリヤ・バプラート

それでは早速、公道ステージから始めていこう。

子犬のような瞬発力と敏捷性に夢中:A290

2025年の舞台は、ハートサイド峠を中心とする湖水地方。標高580mの高地に、厚い雲と寒さを吹き飛ばすような10台が集った。ノミネート車両はすべて、2025年に印象深い運転体験を与えたモデルばかり。どれから乗ろうか、悩んでしまう。

筆者が初めに向かったのは、A290。最高が最小ということは、珍しくない。絶滅しかけていたホットハッチを、電動パワートレインで復活させている。現実的なお値段で。

ホワイトのアルピーヌA290 GTSと、レッドのアウディRS3 スポーツバック
ホワイトのアルピーヌA290 GTSと、レッドのアウディRS3 スポーツバック

ダウンヒルのルートへ飛び込めば、小柄なボディと締まりのある姿勢制御が生む、敏捷性へ夢中になれる。220psの駆動用モーターが、活発な子犬のような瞬発力を叶えている。「小さなクルマのアドバンテージがわかりますね」。とソーンダースが話す。

ただし、歴代最高のホットハッチへ並ぶ輝きまでは、ないかもしれない。ステアリングもブレーキも、感触が薄いのが原因だろう。「全然悪くはないです。でも、オールドスクールなホットハッチの方が楽しいですよね」。プライヤーの感想が、的を得ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BBDC 2025の前後関係

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