スタッドレスだけではない、冬の移動の選択肢【森口将之の『もびり亭』にようこそ 第16回】

公開 : 2026.01.14 12:05

『外出そのものを止める』という選択肢

でも、世の中には僕のように考えないドライバーもいるようです。いつでもどこでも自由に移動できるというクルマの魅力を、氷雪路にも当てはめてしまう人たちです。それが立ち往生を引き起こし、冬用装備をした人たちまでそこに巻き込んでいます。

自分もジャーナリストのひとりとして、さまざまな場面で安全運転を呼びかけていますが、ながらスマホ同様、ルールを守らないドライバーは増える一方という印象を抱いています。どちらも厳罰化を求めたいところです。

数年間に東京都内で積雪があったときの様子。
数年間に東京都内で積雪があったときの様子。    森口将之

それと、取材で雪道を走った経験から言えば、スタッドレスタイヤは無敵ではありません。『冬はスタッドレスタイヤにしましょう』というフレーズはよく見ますが、乾いた舗装路のようなグリップは期待できないことにも言及してほしいものです。

大雪は地震と違って、ある程度予想ができます。とりわけ最近の天気予報は、時間や地域などきめ細かい予報が可能。事前にその日の予定や移動手段を変えることはできるはずです。

それでいて、近年の気候変動の影響で、以前よりも『集中豪雪』になる可能性は増えているのに、ノーマルタイヤで走る人は減りません。ですので、雪が積もりそうならリスク回避でクルマを使わない、という選択肢はアリだと考えているのです。

では、公共交通が止まったらどうするか。僕なら外出そのものを止めます。それが危険のサインだと思っているからです。今年のお正月で言えば、電話で母親に行けないことを伝えたでしょう。

世界一の積雪都市、青森で暮らす義父は、雪道について「できれば運転したくない」と言います。雪道のエキスパートが口にしたこの重い言葉も、僕が雪の日に運転しない理由のひとつになっています。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

森口将之の『もびり亭』にようこその前後関係

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