向かうところ敵なしのオフローダー ウニモグUHEへ試乗 理解すれば価格も納得 後編

公開 : 2023.09.10 08:26  更新 : 2023.09.10 13:48

陸上の万能選手と呼べる1台で、コアなファンが居るウニモグ。英国編集部がドイツへ赴き、最新版の実力を確かめました。

最大45度まで登坂可能 渡河水深は1.2m

ウニモグは非常に堅牢で、稼働を始めてから40年以上現役という例が少なくない。実に、工場を過去にラインオフした約80%のモデルが、今でも活躍中だとか。それでも同社の技術者は、「40年は40年です」。と語る。機械は徐々に摩耗していく。

最新のウニモグUHEは、初代から大幅に進化している。例えば、キャビン内からの操作で、それぞれのタイヤへ空気の充填が可能。電子制御されており、1本のタイヤがパンクしても、残りのタイヤの圧力を調整し危険を回避することもできるという。

ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)
ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)

通常、UHEのタイヤの空気圧は5barから6bar。沼地など軟弱な地盤では、1.5barまで落とされる。このシステムで、多少の傾斜地なら停車中のボディを水平に保つこともできる。

走破性に重要となる、ボディと路面が接する角度は、フロント・オーバーハング側のアプローチ・アングルで46度。ホイールベース間のブレークオーバーは36度で、リア・オーバーハング側のディパーチャーは50度もある。

渡河水深は、最大1.2mまで。登坂可能な傾斜は最大45度。横方向では、38度まで傾いても横転しないそうだ。

動力源となるエンジンは、5.1Lの4気筒ディーゼルターボ。シャシーの高い位置にあり、その上にキャビンが被さっているため、乗る時はちょっとしたボルダリングになる。

オフロードでは重要な穏やかな特性

UHEのスチール製キャビンは見慣れた印象だが、1990年代からデザインは殆ど変わっていないという。大きな金属加工用の成形型を更新するコストは、ウニモグのような少量生産のモデルの場合、回収が難しいためだ。

キャビンが小ぶりなUGEの方は、複合素材でボディが作られており、金型は安くできる。そのおかげで、スタイリングも新しい。

ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)
ウニモグUHE エクストリーム・オフロード(欧州仕様)

ボンネットが大きく傾斜しているおかげで、手前側も目視できる。ミラーは大きく、側方の確認が容易。マグネットで固定されるカメラが各所に装備され、死角の補完を任意でできる。

広い車内空間の前席側には、スプリングで浮いた1人がけのシートが3脚並んでいる。中央の席は、パワートレインを避けるコブの上にあり、居心地はあまり良くない。後席側は、1人がけのシートが4脚据えられる。

大きなステアリングホイールは、トラックのようにほぼ水平。ウインカーとワイパーをまかなうレバーが、ステアリングコラムから伸びている。シフトレバーが右手にあり、ペダルは大きい。

ボディサイズの割に、ウニモグは運転はしやすい。山火事や災害救助などの現場で活躍できるマシンとして、完成している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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