航続距離は1世代前 トヨタ・アーバンクルーザー(2) 加速力は充分 期待される水準に数歩足りず

公開 : 2026.01.13 18:10

eビターラの兄弟モデル、アーバンクルーザー 見た目は本格的SUV 狭い後席に反応の遅いタッチモニター 市街地で優れない乗り心地 1世代前の航続距離 UK編集部が厳しい評価

これ以上は必要ない鋭い加速力

今回試乗したトヨタ・アーバンクルーザーは、パワフルな174psの方。車重は1800kgと軽くないが、0-100km/h加速は8.7秒がうたわれ、なかなか鋭い加速を披露する。小さなクロスオーバーとして、これ以上の勢いは必要ないだろう。

だがドライブモードがノーマルかエコの場合、アクセルペダルを傾けてからパワーが上昇するまでに、明確なラグがある。鋭さを抑えつつ、もう少し線形的な反応の方が望ましいように思う。144ps版でも、不満ない加速を発揮しそうだ。

トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

ブレーキはバイワイヤ制御で、減速感は滑らか。回生ブレーキの効きも直感的。3段階から強さを調整できるが、タッチモニターへ触れる必要がある。

アクセルオフで惰性走行する状態も、センターコンソール上のボタンで選べる。他方、ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブには対応しない。

市街地で優れない乗り心地 正確な操舵感

乗り心地は、小さな側の18インチ・ホイールを履いていても、凹凸での揺れは大きめ。スプリングレートが高い反面、ダンパーの減衰力が弱めで、舗装の細かなツギハギでも落ち着きを失いがち。工事の多い市街地では、快適とはいえないだろう。

タイヤのグリップ力は高く、ステアリングは適度な重さで正確。感触がダイレクトで、小気味よく操れる印象がある。しかし、硬めの乗り心地の割にカーブではボディロールが大きい。もう少しフラットなら良いのだが。

トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

高速道路では滑らかさが増すものの、競合をリードできる快適性には届いていない。47.8kWhの駆動用バッテリーを積む方が車重は軽く、乗り心地はベターかもしれない。風切り音が抑えられ、車内は概ね静かだ。

運転支援システムは、良好に動作していた。ただし、不必要な項目をオフにするには、反応の遅いタッチモニターを介することになる。

電費や航続距離は1世代前の水準

バッテリーEVとして肝心の電費や航続距離、急速充電の数字は、1世代前の水準にあるといわざるを得ない。気温8度の英国で、複合的な条件で試乗した電費は、平均3.7km/kWh。市街地では4.0km/kWhへ届いたが、高速道路では3.2km/kWhを下回った。

現実的な航続距離は、良くても300kmほど。競合モデルと比較すると、物足りない持久力にある。高効率なヒートポンプ式エアコンは、期待ほど効果を生んでいない様子。

トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー・デザイン 61kWh(英国仕様)

急速充電も、47.8kWhのバッテリーで80kW、試乗車の59.8kWhで125kWと特筆すべき速さではない。トヨタのbZ4Xは高効率で、小容量のバッテリーでより長い距離を走れる。同社が、優れたEV技術を有することが明らかなのだが。

保障は充実し、正規ディーラーでの定期点検を条件に、最長10年間か100万kmまでカバーされる。インドでの生産だが、信頼性には自信があるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    アレックス・ウルステンホルム

    Alex Wolstenholme

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

トヨタ・アーバンクルーザーの前後関係

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