「故障車続出」のクリスマス 冬の英国カーレスキュー事情 念のため積んでおきたい装備

公開 : 2023.12.24 19:05

クリスマスのレスキュー・サービスはスタッフ総出 長距離ドライブ前には簡単な点検を 真冬のクルマに積んでおきたい装備は? 英国編集部が取材

長距離ドライブの前には簡単な点検を

年末年始は、クルマで実家へ戻るという人も少なくないだろう。だが同時に、クルマのトラブルも大きく増える。

この時期に路上でのレスキュー・サービスを依頼すると、英国では150ポンド(約2万8000円)以上取られる場合も。実際は単純なバッテリー上がりということも多く、割高な作業料になってしまう。

RAC社の技術責任者、ジェームス・ギブソン氏(右)
RAC社の技術責任者、ジェームス・ギブソン氏(右)

英国の自動車協会(AA:日本でいうJAFのような団体)の会員なら費用を抑えられる。だが、救助に来てもらった現場で加入すると、会費は割高になることが通例だ。

折角の長期休暇だから、友人や家族との長距離ドライブを計画している読者も多いはず。ガソリンの残量だけでなく、ヘッドライトやテールライト、エンジンオイル、クーラント、バッテリー、タイヤ、ウオッシャー液の点検程度は忘れずに済ませたい。

交通状況や天気予報の確認も、大切といえる。AUTOCARの読者には、釈迦に説法かもしれないが。

2022年の報告では、クリスマス直前の12月23日から24日の2日間だけで、合計1700万台のクルマがグレートブリテン島の道路を走ったという。渋滞が頻発した高速道路は、南西のブリストルから伸びるM25号線や、ロンドンから北へ伸びるM1号線などだった。

2023年も、道路は渋滞するに違いない。近所へのクリスマスディナーの買い物でも、混雑に巻き込まれる可能性はある。最近のクルマは信頼性が高いとはいえ、気温が下がると故障も起きがちだ。

グレートブリテン島の平均車齢は8.4年

現在のグレートブリテン島を走っているクルマの平均車齢は、8.4年。統計開始以来、最も高い数字だという。また約1000万台は、2008年より以前に登録されている。

新車価格だけでなく、物価の上昇も止まらない。若いドライバーの3割以上は、クルマへ掛ける維持費を削っているという情報もある。

RAC社の技術責任者、ジェームス・ギブソン氏
RAC社の技術責任者、ジェームス・ギブソン氏

英国で自動車のレスキュー・サービスを展開しているRAC社によると、そんなドライバーはライトやエンジンオイル、タイヤの空気圧といった、基本的な点検もしないとか。走行距離も減少傾向にあり、バッテリーの充電が不充分な例も少なくないらしい。

その結果、いざという時に故障へ見舞われてしまう。さほどインフレが進んでいなかった2019年に、グレートブリテン島の路上で故障した車両は約25万台。2023年は、条件の良い6月から8月の3か月で6万2000台を超えた。2019年を超える勢いだという。

とはいえ、クリスマスに実家へ帰ることは大切な年間行事だ。ドライバーの負担は小さくないが、楽しい思い出が待っている。

では、故障したクルマの受け入れ態勢はどうなっているのだろうか。そこで英国編集部は、グレートブリテン島中部、バーミンガムの北にあるRAC社の本部へお邪魔してみた。ここでは、スタッフのパトロールやレスキュー作業の訓練が行われている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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