アウディTT

公開 : 2015.04.23 23:40  更新 : 2017.05.29 18:14

■パフォーマンス

”0-100km/hタイム=6.0秒台という数字は10年前ならばジュニア・スーパーカーの領域であったが、もっとも安価な前輪駆動MTのTTは、こともなげにその数値をクリアした” ― ニック・カケット(ロードテスター)

2.0ℓ 4気筒ガソリン/ディーゼル・ターボが選べるのは先述のとおり。後者の185psのエンジンを搭載するTDIウルトラ・スポーツの0-100km/hタイムは7.1秒、最高速度は241km/hと、決して悪い数字ではない。

このひとつうえのレンジに位置するのが、230psと37.7kg-mを発揮するFFのTFSIにマニュアル・ギアボックスを組み合わせたものだ(テスト車両)。これも上級グレードではないが、かなりのシェアを占めるはず。

フラッグシップ・グレードにあたるのが2.0ℓのTT Sであり、こちらは311psを発揮。0-100km/hタイムはマニュアルで4.9秒、Sトロニックで4.6秒、最高速度は249km/hに及ぶ。

10年前に0-100km/h=6.0秒台という数値をマークしていれば、それはれっきとしたジュニア・スーパーカーの領域に属するものだったのだが、いまやTTでも成し遂げられるのだから素晴らしい時代だといえる。

しかもマニュアル・ギアボックスで、しかも前輪駆動で、しかも ’たったの’ 230psで可能なのだから、誠に恐れ入る。

雨に覆われた路面の上での加速テストではあったが、0-100km/hタイムは6.6秒をマーク。安定したトラクション供給がなされる48-113km/hタイムでは5.0秒をマークした。

ちなみに先代のポルシェ・ケイマンの48-113km/hタイムが8.0秒。これを4速固定で行った場合TTは8.0秒を記録したのに対して、ケイマンは10.6秒もかかってしまった。

4気筒ターボ・エンジンよりも、ケイマンのフラット6の方がキャラクターに面白みがあるというあなたの意見に筆者も賛成ではあるが、TTのエンジンも十分にたのしいから安心していただきたい。

テスト車両のもっとも控えめなチューニングでも低回転域のレスポンスは実に歯切れよく、ターボ・ラグも最小限。回転域問わず常にパワフルに感じるのは最大トルクが1600-4300rpmの広域で流れ込んでくるからだ。

そしてそのわずか2000rpm上の6200rpmからは出力値がピークに達する。6600rpmで訪れるレッド・ゾーンまで、まさに有効なエンジン特性だと言えよう。

最後にマニュアルのアウディをテストしたのは、いつか思い出せないほど久方ぶりのマニュアル車であったが、6速ユニットはサクサクと変速可能。

しかしながら、(多くのオーナーにとってはさしたる問題ではないかもしれないが)ノブを押し込む際の重みや、各ゲートに入れるときの感覚をもう少し徹底して煮詰めても良かったのではないかと思う。

A3で感じた気持ちよさはTTにあらず、である。

しかし、総じてTTはリラックスした心もちで運転できる。速度域に関係なく、常に簡単にどこへでも行けるような気持ちになれるのはTTの美点である。

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