【2025年日本自動車業界総括】寝耳に水、大統領の一言、廃止と先送り!メーカーとユーザーを揺さぶった、ふたつの大きなニュース
公開 : 2025.12.31 07:05
2025年も日本の自動車業界は様々なニュースが駆け回りました。ここでは総括として桃田健史が、メーカーとユーザーを揺さぶったふたつの大きなニュースをピックアップ。外的要素に振り回された現状を振り返ります。
夢物語ではなく現実的な市場の方向性
時代の変わり目を感じる1年だった。
日本市場を俯瞰する機会となったのが、ジャパンモビリティショー2025(JMS:一般公開10月31日〜11月9日)。全体イメージを10年先の2035年に定めた。自動車メーカーとユーザーそれぞれが、単なる夢物語ではなく現実的な市場の方向性を体感できたと思う。

具体的には、マルチパスウェイがある。2050年カーボンニュートラルを目指すために、EV、プラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、燃料電池車、次世代バイオ燃料車など様々なパワートレインを市場変化に応じて使い分ける。
自動運転については、公共利用で完全自動運転の本格的なサービスを視野に入れた動きが鮮明に。
海外ブランドでは、軽自動車EVである『BYDラッコ』に代表されるような、日本市場に対する本気度が高い事例が今後さらに拡大することが予想できた。
こうしたJMSで明らかになった自動車産業界の動き全体に対して、大きな影響を与えるニュースがふたつあった。『トランプ関税』と『自動車関連諸税の抜本的な見直し』だ。
順に見ていくと、トランプ関税は自動車メーカーにとっては寝耳に水。バイデン政権では自動車メーカー幹部が、「IRA(インフレ抑制法)への対応が急務」と嘆いていたことを思い出す。クリーンエネルギー事業を強化するために電動車のアメリカ国内生産を強化する狙いがあった。
そこにいきなり、トランプ関税というゲームチェンジャーが現れた。
15%でも事業の大幅見直しは必須
2025年春の時点では、完成車などの輸入に対して追加関税が25%。それまでの2.5%とあわせて27.5%となり一気に11倍となった。
こうした状況を打破しようと、赤澤経済再生担当大臣(現・経済産業大臣)が毎月のようにホワイトハウス詣したのが記憶に新しい。

最終的には7月22日に日米政府が共同声明を出し、完成車などに対する関税を追加関税を含めて15%とすることで合意。自動車メーカーなどでつくる業界団体、日本自動車工業会も日本政府に対して感謝の意を示した。
日本の自動車産業界としては最悪のケースからは脱したものの、15%とは従来の6倍という大きな重荷であることに変わりはない。
そのため、日本の自動車メーカー各社の上期決算発表では、当初の27.5%関税による営業利益の圧迫によって一部メーカーでは赤字に転落。通期の見通しでも15%関税の影響が色濃いとして、早期退職制度を拡大するメーカーも出てきた。
どんなに『いいクルマ』を作っても、また、きめ細かい販売サービスを行っても、アメリカ大統領の『ひと言』で日本自動車産業全体が大きく揺さぶられるという現実をつきつけられた、大きなニュースであった。
少子高齢化やライフスタイルの変化から、日本の自動車市場が縮小傾向にある中、アメリカや中国などとの政治、経済動向という外的要因のインパクトが極めて大きいことを、ユーザーも実感した。



































































































































































































