良い意味で期待を裏切った名車 アルファ・ロメオ『GTV/スパイダー』の巧みな設計を振り返る【UK編集部コラム】

公開 : 2026.03.14 17:05

衝撃的だったエクステリアデザイン

アルファ・ロメオGTVはスパイダーの3倍の剛性を誇り、より優れたドライバーズカーとなった。また、スパイダーの2席に対し4席を備えるが、後部座席は切羽詰まった状況でのみ使える代物だ。あるいは荷物のためのスペースと言える。大型のリアサスペンションを収めるため、燃料タンクの位置を変更した結果、トランクスペースはかなり狭くなった。

しかし、その代償に手に入れたのは、外観にふさわしい走行性能であった。

アルファ・ロメオGTV(916)
アルファ・ロメオGTV(916)

1995年当時は非常に衝撃的なデザインだった。ウェッジシェイプのクルマは以前から存在しているが、エンリコ・フミア氏によるGTVのデザインは異質だった。深いメスで切り込んだようなラインがフロントフェンダーからドア、リアフェンダーへと走り、リアウィンドウ(スパイダーの場合はボディ同色トノカバーの基部)を囲むように流れている。

新鮮で、目を奪われる、実に巧妙なデザインだ。複合プラスチック製ボンネットに打ち抜かれた4灯式ヘッドランプも同様だ。当時としては小型のフロントライトは斬新だったが、ボンネットを開けると長方形のランプユニットが現れる。閉じた時にその一部が隠される仕組みだ。

GTVとスパイダーは共に10年の寿命を全うした。スペシャリティカーとしてはかなり長命で、GTVは後にアルファ・ロメオの名高い3.0L V6エンジンと6速トランスミッションが搭載されたことでさらに輝きを増した。軽微ながら効果的な改良も人々の関心を引いた。

しかし、GTVは優れた走行性能を発揮したものの、そのシャシー性能はホットハッチの台頭によってすぐに影を潜めるようになり、乗り心地の悪さや笑えるほど狭いトランクといった不満点が時代遅れな印象を際立たせた。また、多くの愛好家が後輪駆動を望んでいたのも事実である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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