5万ポンドで即決購入したマセラティ『メラクSS』 完璧にレストアされた希少な1台 スポーティで快適、壊れても「ほぼ直せる」

公開 : 2026.03.03 12:05

英国在住のシャン・ハビブさんが購入した1977年式のマセラティ・メラクSS。標準車より50kg軽量で、大型キャブレターを3基備えたV6エンジンを搭載しています。運良くボディ修復済みの状態で入手したとのことです。

標準車より50kg軽量なスポーツ仕様

「クルマ好きなら、次に乗る1台を常に探しているものです」と英国のシャン・ハビブさんは言う。しかし、そんな彼でさえ、この素晴らしいクルマに出会った時はさぞ驚いたに違いない。

「わたしはマセラティグランスポーツを所有していて、ずっとメラクが欲しかったんです。そんな時、オーナーズクラブの広告でこれを見つけて……」

シャン・ハビブさんのマセラティ・メラク。英国には約30台しか残っていないという。
シャン・ハビブさんのマセラティ・メラク。英国には約30台しか残っていないという。    AUTOCAR

こちらはマセラティ・メラクSSだ。ボーラの兄弟車だが、ボーラの4.7L V8エンジンではなく3.0L V6を搭載している。スポーツ志向のSS仕様は、標準より50kg軽く、大型キャブレター3基を採用し、圧縮比を高めている。これにより出力は190psから220psに向上した。

全長の短いV6エンジンを採用したことで、車内のスペースが拡大され、2+2シートを実現した。ボーラと似ているが、リアウィンドウからエンジンデッキにかけて伸びるバットレス(梁)が特徴的だ。

見た目は圧巻だ。シャンさんも感銘を受けているという。

「メラクのフォルムと、非常に高い希少性が気に入っています。マセラティが生産したメラクは約1000台で、右ハンドルと左ハンドルがほぼ半数ずつ。英国には、わたしの1台も含めて右ハンドル仕様が30台ほどしか残っていません」

ボディ修復済みで「お得」に購入?

この車両は1977年に新車登録されたが、シャンさんが購入する少し前に1000時間をかけてボディレストアが行われていたそうだ。

「見た瞬間、迷わず即決しました。レストアはブラックライン・クラシックカーズ(英国の旧車専門整備工場)によるもので、素晴らしい出来でした。金属部分には一切パテが使われていません。ボディが錆びやすいクルマなので、この状態が決め手になりましたね。わたしは5万ポンド(約1000万円)で買いましたが、レストア代だけでもそれくらいはかかっていると思います」

シャン・ハビブさんのマセラティ・メラク。内装はオリジナルの状態を維持している。
シャン・ハビブさんのマセラティ・メラク。内装はオリジナルの状態を維持している。    AUTOCAR

ボディが修復を受ける数年前、エンジンもオーバーホールされ、ナトリウム充填バルブなど改良が施された。サスペンションとブレーキも一新されている。シャンさんの車両で完全なオリジナル部分は、実は内装だけだ。「なので、ドアを開けた時に本物の匂いがしたんです」と彼は笑いながら言う。

タイヤは新品だが、ミシュランがオリジナル風を再現しつつ、現代的なコンパウンドで作り直したものである。

「高めの偏平率のおかげで乗り心地は良くなっています。実際、製造からほぼ50年経っているのに、運転していてとても気持ちいいんです。スーパーカーほどの速さはありませんが、信号からの発進は素早く、高速道路でも他のクルマと同じ速度で流せます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    役職:特派員
    フリーランスのジャーナリストで、AUTOCAR英国編集部の元スタッフ。姉妹誌『What Car?』誌の副編集長や『Practical Caravan誌』の編集長なども歴任した。元自動車ディーラーの営業マンという経験を活かし、新車・中古車市場や消費者問題について幅広く取り扱っている。近年は、これらのニュースや特集記事に加え、アイスクリーム・ワゴンのDIY方法から放置車両の探索まで、さまざまな記事を寄稿している。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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