トヨタ・ランクル250で同門スタッドレスとオールシーズン比較! トーヨー『オブザーブW/T-R』対『オープンカントリーA/T3』【タイヤの達人・雪上テスト後編】

公開 : 2026.03.30 12:05

雪上・氷上コースともにW/T-Rが優位

実際の試乗コースで試してみると、雪上・氷上コースともに、スタッドレスタイヤのW/T-Rが優位だった。

とくに良さが光ったのは(当然のことながら)凍結路面だった。氷上からの発進では、氷の路面をとらえてグリップしている感触があり、その感触どおり車速がスムーズに上がっていく。

A/T3は、加速時にエッジが引っ掻くようなグリップ感があり、ブレーキ時にも抵抗感があった。
A/T3は、加速時にエッジが引っ掻くようなグリップ感があり、ブレーキ時にも抵抗感があった。    トーヨータイヤ

また、氷上ブレーキ路面でも、ABSを効かせながらしっかりとした減速感が出ており、ブレーキをかけながら「あ、これならクルマは止まってくれる」と感じる安心感がある。

氷上スラロームと氷上旋回路では、ステアリングの効きがよく、クルマの向きが変わってくれる。当然滑りも伴っているのだが、抵抗感のある滑りで、十分にコントロールの範囲にある。コントロール性の良さと安心感があると感じた。

明確に差があるA/T3の氷上性能

これに対してA/T3の氷上性能は、明確に差があるレベル。氷上ブレーキでは、氷上からの発進での到達速度に差があり、ブレーキでも抵抗感・減速感が少なめ。

ただ、予想外だったのは、加速時にはエッジが引っ掻くようなグリップ感があり、ブレーキ時にも少ないながらも抵抗感があった。滑りの飛距離は出そうだが、雪の路面を探し、そこにクルマを誘導するくらいのグリップは残されている感じ。下りの凍結路はかなり緊張を強いられる場面となりそうだ。

凍結路のスラロームと氷盤旋回は、ステアリングが効かず、かなり車速を落とす必要がある。加減速方向は、4WD=4輪の駆動力が得られ、またブレーキも4輪が仕事をするので、それでも何とかトラクションやグリップを得ることができるが、旋回になるととたんにクルマの向きが変わりにくくなる。

スタッドレスタイヤと比べると、明らかにゴムコンパウンドの柔軟性が作り出すグリップ性能が少なく、滑り出しも唐突だった。

荒れた雪路面ではA/T3の健闘が光る

氷上路面では、W/T-R(=スタッドレスタイヤ)とA/T3(=オールシーズンタイヤ)には差があって、グリップ性能、コントロール性、安心感と、どれを取ってもW/T-Rの優位だった。

ところが、耕したようにグズグズに荒れた雪路面や、踏み固められてツルツルになった圧雪路面では、逆にA/T3の健闘が光ったのだ。

ブレーキ制動距離はW/T-Rのほうが短そうだが、A/T3にもブレーキがよく効くと感じる制動感があった。
ブレーキ制動距離はW/T-Rのほうが短そうだが、A/T3にもブレーキがよく効くと感じる制動感があった。    トーヨータイヤ

性能を比較すると、多くの場面でW/T-Rが優位なのは変わらない。しかし耕したようにグズグズの雪路面では、発進時のトラクション性能こそW/T-Rのほうが優れているものの、荒れた雪路面での直進性や、安定感、中間加速のトラクションでA/T3はW/T-Rに迫る性能があった。

また、ブレーキも制動距離自体はW/T-Rのほうが短そうだが、純粋にブレーキがよく効くと感じるくらいの制動感がA/T3にはある。

圧雪スラロームでは、グリップ性能はW/T-Rのほうがステアリングが効き向きをかえやすいが、A/T3もハステアリングの効きは良く、ヨー(≒曲がる力)を発生させやすく、リアの滑りが作り出す向きの変わりやすさが現れ、予想以上に軽快に走ることができた。

雪上路面では、雪柱せん断力や引っ掻きグリップ、エッジ効果など、トレッドデザインの占める性能が大きく影響する。サマータイヤのコンパウンドと比べると、やや低温寄りのゴム配合になっていることも手伝って、A/T3の走行性能の高さを実感した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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