見た目は「良い方のターミネーター」 仏ルノー工場でタイヤを運ぶ人型ロボット『カルビン』(後編) 中国企業との競争に不可欠な存在

公開 : 2026.08.01 07:10

後継機はターミネーター似?

カルビンの人工知能は、今のところルノーとワンダークラフトが許容できるミスの数によって制限されている。コンスタンザ氏は、「わたし達が目指しているエラー発生率は、1000件のタスクにつき1~2件です。人間は1000件に1件のミスを犯します。この工場で働くなら、最大でも2000件に1件まで。それはLLMよりはるかに優れています」と説明する。

そこでコンスタンザ氏は、カルビンがまもなく退役し、より高性能なモデルに置き換えられるという知らせを伝えた。少し気の毒に思わざるを得ないが、そういうものだろう。

カルビンを開発したワンダークラフト社の共同創業者ジャン=ルイ・コンスタンザ氏
カルビンを開発したワンダークラフト社の共同創業者ジャン=ルイ・コンスタンザ氏

現在稼働中のカルビンは「40」というモデルで、ルノーの社内チームによってさらに高度なバージョンが開発されている。現行モデルを進化させたもので、腰回りが細く、足の形状も変わり、より重い荷物を運ぶのに最適化されるという。

コンスタンザ氏によれば、見た目は少し『ターミネーター』に似ているという。ただし、「殺戮を企てているバージョンではなく、良い方のターミネーターです」とのこと。

欧州の製造業が必要とする起爆剤

カルビンの後継機は、今後数か月のうちにフランスとスペインの各工場で導入される予定だ。今年末までに10台が稼働し、2027年末までに350台へ増強される見込みだ。

筆者が見た限りでは、近い将来、工場が完全にカルビンだけで運営される様子を想像するのは難しい。しかし、このロボットが迅速に導入され、改良を重ねていることを考えれば、欧州の製造業を守る上で極めて重要な役割を果たす可能性もある。

自動車生産においてロボットの活用は今後ますます重要になっていきそうだ。
自動車生産においてロボットの活用は今後ますます重要になっていきそうだ。

何しろ、このロボットは8月に1か月のバカンス休暇を取る必要もないし、病気になることもない。上司に反旗を翻してストライキを行うこともない。ロボットは、欧州とは異なる倫理観や財務的ルールに従う中国と産業力で対抗するために必要とされている起爆剤となるかもしれない。

雇用に関しては、ルノーはロボットによって職を失った従業員を再教育すると示唆している。だが、ロボットの有用性がますます高まる中で、それがどれほど現実的なのは時が経ってみないとわからない。

今のところ、製造業に劇的な変化が訪れようとしており、この弱々しく見える、よろよろと歩く機械がその最前線に立っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

タイヤを運ぶ人型ロボット『カルビン』の前後関係

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