庶民が一緒に暮らせたヒーロー オースチン・ミニ・クーパー / フォード・エスコート 1300GT(1) 2台が与えたささやかな興奮

公開 : 2026.09.13 17:45

割高感は殆どなかったエスコート 1300GT

他方、通常のミニ・クーパーに並ぶ存在といえたのが、エスコート 1300GT。標準のエンジンは1.1Lだったが、1.3Lで価格は25%高いだけだった。装備が充実していたため、むしろ割高感は殆どなかったといえる。

エンジンは、エスコート・スーパー用のオプション、1298ccユニットがベース。ハイカムシャフトとツインチョーク・ウェーバーキャブレター、4分岐の排気マニフォールドが与えられ、最高出力は65psに達した。

フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)
フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回ご登場願った1970年式では、エンジン自体も改良され73psへ向上。幅4.5Jのスチールホイールとフロントのディスクブレーキ、ラジアルタイヤが標準で組まれている。

1960年代後半らしいスポーティな雰囲気

ドアを開いて車内へ収まると、1960年代後半らしいスポーティな雰囲気がうれしい。エスコート・ツインカムと同じダッシュボードは、6連メーターが誇らしい。内装トリムは当初シルバーだったが、改良でフェイクウッドへ変更されている。

メーターリングのクロームが鈍く輝くが、それ以外はブラック。今でも本気度の高い、機能的なコクピットに映る。半世紀前は、一層シリアスに思えたはず。四角いヘッドライトから続くフェンダーの峰が、フロントガラス越しに見える。

フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)
フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

シートを包むビニールレザーには、細かなパンチング加工が施され、汗ばむのを多少は防いでくれる。人間工学にうるさいフォードだが、リムを握る手がダッシュボードに触れがちなため、ステアリングホイールはオーナーの好みで交換されている。

シフトレバーは滑らかに倒せ、曖昧にグラつくことはない。ペダル配置も望ましく、直感的に傾けられ、ステアリングも重すぎない。新車時、ディーラーからの短時間の試乗でも、多くの人が納得できたはず。

この続きは、オースチン・ミニ・クーパー / フォード・エスコート 1300GT(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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