デザインが秀逸なフォード車 40選(前編) 黎明期のシンプル・イズ・ベストなモデルTから華麗なスポーツカーまで

公開 : 2026.10.31 11:05

フォード・ゼファー(1950年)

米国でのフォードの先例に倣い、英国フォードは1950年にゼファーという新型車を発表した。ベーシックモデルのコンサルや上位モデルのゾディアックと同様の洗練されたラインを備え、英国で初めてモダンなフロントデザインを採用したセダンの1つとなった。

また、フォードとして初めてモノコック構造を採用した点にも注目したい。これにより車体の剛性が向上し、ラリーなどの競技で有利に働いたほか、室内空間も広くなった。フォードはセダンのみを販売したが、アボットやカーボディーズといったコーチビルダーがワゴンやコンバーチブルを製造していた。

フォード・ゼファー(1950年)
フォード・ゼファー(1950年)

フォードF-100(1953年)

フォードは1948年に最初のFシリーズを発売したが、米国の消費者の心を掴んだのは、1953年の第2世代モデルだ。このF-100が人気を博し、販売期間中の3年間で毎年10万台以上を売り上げた理由は容易に理解できる。

堂々としたフロントエンド、絞り込むような形状のボンネット、クロームのグリルインサートにより、コンパクトでありながら重厚な印象を与え、ステップサイドのリアはピックアップトラックらしい外観を際立たせている。実用的な荷台を備えていたため、好景気に沸く1950年代の米国においてあらゆる業種で活躍することになった。

フォードF-100(1953年)
フォードF-100(1953年)

フォード・サンダーバード(1954年)

1950年代の米国経済の活況具合を象徴する1台が、1954年に登場したフォード・サンダーバードだ。その流麗なスタイリングはルイス・D・クルーソー氏とジョージ・ウォーカー氏の手によるものだが、車名は別の社内デザイナー、オールデン・ギバーソン氏によるものだ。彼は車名のネーミングコンテストで優勝し、賞品として250ドル相当のスーツを手にした。

スポーツカーとして設計されたサンダーバードは、その外観もスポーツカーらしいものだが、当時英国で販売されていたセダンのゼファーともスタイリング上の共通点が多い。欧州のジャガーやMGと比較すると、サンダーバードはどちらかといえば高級クルーザーに近い存在だった。しかし、こうした点は、スポーティな外観と2695ドルという手頃な価格を気に入った米国の消費者にとっては、何の問題でもなかった。サンダーバードは「パーソナルカー」という新しい分野を開拓し、その後数十年にわたってフォードに大きな収益をもたらすこととなった。

フォード・サンダーバード(1954年)
フォード・サンダーバード(1954年)

フォード・アングリア(1959年)

1959年に登場したアングリア105Eは、先代モデルの100Eとはまったく異なるものだった。100Eが現代的なスタイリングの先駆けとなったのに対し、105Eは米国風の外観を備え、フィンや派手な装飾が特徴的だった。最大の特徴は逆傾斜のリアウィンドウであり、このため「アングルボックス」という愛称で呼ばれるようになった。

このリアウィンドウにより、雨の日でも後方視界がクリアに保たれた。1960年代に欧州で高速道路が整備されるにつれ、この点はますます重要となっていった。こうした高速道路への対応をさらに進めるため、フォードは1963年に大型の1197ccエンジンを搭載し、最高速度約135km/hを誇る123Eバージョンを導入した。この世代のアングリアは100万台以上販売された。

フォード・アングリア(1959年)
フォード・アングリア(1959年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の英国の自動車雑誌『AUTOCAR』(1895年創刊)。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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