再生可能燃料に立ちはだかる障壁 エンジンを救う欧州最後の希望(後編) 無視できない「食料を燃やしている」という批判
公開 : 2026.11.02 11:50
欧州で再びバイオ燃料への注目度が高まっています。CO2排出量を削減できるとしてトヨタやBMWが導入を推進していますが、「食料を燃やしている」という批判も。電動化が進む中、エンジンの救世主となり得るのでしょうか。
目を逸らしてはいけない現実
最近、フランスとドイツの両政府がCO2削減に向けた取り組みに関する合意を発表した。欧州自動車部品工業会(CLEPA)によると、この合意文書では「代替クリーン技術に対して重要な柔軟性をもたらし、再生可能燃料を動力源とする車両を部分的に認めている」という。
特にトヨタとBMWは、脱炭素化に向けた「マルチパスウェイ」戦略を強く訴えてきた。バイオ燃料は、内燃機関への投資を守り、雇用を維持するための最も大きな機会となるだろう。

「わたし達が今直面している移行は極めて厳しいものです。雇用面での影響は日々目の当たりにしています」と、欧州トヨタの企業・政府関係担当責任者パスカル・ルーシュ氏は述べた。
「内燃機関車による市場シェアを20%であれ30%であれ維持することは、より円滑な移行を支えることにもつながります。もちろん排出量削減は望んでいますが、一方でわたし達に果たすべき社会的役割があることも忘れてはなりません」
しかし、再生可能燃料というアイデアに、誰もが賛成しているわけではない。
環境保護団体トランスポート・アンド・エンバイロメント(T&E)は、この問題に関する報告書の中で「欧州は10年前、化石燃料に代わる『再生可能』な燃料としてバイオ燃料を先駆けて導入しました。その結果は、概して悲惨なものでした」と述べている。
欧州バイオ燃料が抱える重い課題
「残念ながら(これらの燃料に適した原料は)限られており、欧州は信頼性の低い輸入への依存度を高めています」とT&Eは述べ、欧州が使用済み食用油の80%をアジアから輸入していることを指摘した。「信頼性の低い輸入」とあるのは、その使用済み食用油が未使用のパーム油にしばしばすり替えられているためだ。
昨年、英国政府はHVOに関する調査を開始した。これは、業界の内部告発者が英BBCに対し、これらの原料の多くが廃油ではなく、未使用のパーム油であるとの疑いを伝えたことを受けてのものだ。

また、未使用油の問題とは別に、パーム油プランテーションは、特に東南アジアにおいて熱帯雨林を破壊しているとして長らく批判の的となっている。
1つの解決策として、ボッシュが開発した「デジタル・フューエル・ツイン」がある。これは燃料のサプライチェーンをエンドユーザーまで追跡するもので、これにより自身が使用するバイオ燃料が何から作られているか、またどれだけのCO2削減効果が期待できるかを確実に把握できるようになる。
そのためには、燃料メーカーが原料の産地を把握し、その情報を開示することが求められる。しかし、ボッシュのシステムが適切に運用されれば、再生可能燃料が気候問題を解決するのではなく、単に問題を海外に押し付けているだけだという政府関係者らの懸念を払拭するのに役立つ可能性がある。



























