まるで550馬力のロータス・エリーゼ フォードGT x フェラーリF430(2) V8+6速MTの見逃されがちなマスターピース

公開 : 2026.11.01 17:50

フォード100周年を記念した、クラシカルな姿のGT。高度な技術が詰め込まれた、同時期のフェラーリF430。アプローチは異なりますが、いずれも同時代の傑作V8ミドシップたちです。UK編集部が2台の魅力を再確認します。

まるで550馬力のロータス・エリーゼ

かなり攻め込んでもドライバーが苦労しないという点で、フォードGTはいかにもアメリカ車らしい。カーブが連続する区間を圧倒的なスピードで飛ばしてみるが、ステアリングホイールは適度な重みのままで、不要なキックバックは伝わらない。

トラクション/スタビリティ・コントロールが備わらないアナログっぷりでも、挙動は一貫して安定。スペースフレーム・シャシーの剛性は極めて高く、路面状況をクリアに把握できる。過去には、「550馬力のロータス・エリーゼ」と評した人もいたほど。

フォードGT(2004〜2006年/北米仕様)
フォードGT(2004〜2006年/北米仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

圧倒的なトラクションで、0-97km/h加速は3.5秒。遥かに強力だった、同時期のフェラーリ・エンツォフェラーリに迫る鋭さでもあった。

高度な技術が詰め込まれたF430

フォードが自らの100周年を祝っていた時、フェラーリは異なるアプローチのV8ミドシップ・モデルを提供していた。F430のフラットプレーンクランク・ユニットは、遠吠えのようなノイズを放つ。2004年当時、F1を席巻していた事実を知らしめるように。

ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏による指揮のもと、フェラーリは1つの黄金期を迎えていた。可変バルブタイミングにザックス社製スカイフック・アダプティブダンパー、電子制御LSD、スタビリティ・コントロールなど、高度な技術が1台へ詰め込まれていた。

フェラーリF430(2004〜2009年/欧州仕様)
フェラーリF430(2004〜2009年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

エンツォフェラーリのコンセプトを、現実的な跳ね馬へ展開したモデルともいえ、殆どの注文者は6速セミATのF1マティックを選択した。だが、今回のF430はかなり貴重な6速MT仕様だ。

スタイリングは、先代となる360モデナをベースに、フランク・スティーブンソン氏がモダナイズしたもの。ルーフとボンネット、ドアは共有している。テールライトはエンツォフェラーリ風で、シャークノーズも得ている。当時は、やや地味に映ったが。

フィアット譲りのスイッチやレバー類

ドアを開くと、インテリアはそこまで豪華ではない。オプションだったカーボンシェルのバケットシートが組まれ、上質なレザーで仕立てられているが、スイッチやレバー類は当時のフィアット・プント譲り。プラスティックのままの部分も多い。

マネッティーノ・ダイヤルが備わるステアリングホイールと、丸いシフトノブは、見事に手に馴染む。だが、ダッシュボードの造形に特別感は薄い。ドアミラーは優雅な形でも、フォードの方が演出力では勝るだろう。

フェラーリF430(2004〜2009年/欧州仕様)
フェラーリF430(2004〜2009年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

筆者は常々、劣勢な側を応援したくなるタイプ。F430は王道すぎると、感じなくもない。しかし、スターターボタンを押しV8エンジンが目覚めた瞬間から、そんな考えは薄れていく。カチカチとゲートを鳴らし、1速を選び発進すれば消えてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フォードGT x フェラーリF430の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法